こごみとは
こごみとは、オシダ科クサソテツ属に属する山菜です。英語では「ostrich fern」と言います(他の言い方もあります)。こごみは「クサソテツ」と呼ばれる事もあります。
こごみは、東アジア、ヨーロッパ、北アメリカ東部に分布していて、日本以外の国でも楽しまれています。
シダ類の山菜のなかで、最も美味しいという呼び声があり、アク抜きの手間も少なく扱いやす山菜です。また、栽培もされ始めています。
下処理の仕方
茎のかたいところは取り除き、水で洗いましょう。少量の塩を入れたお湯で茹でれば、それだけで十分美味しく食べられます(2分程度茹でれば十分な事が多いです)。
保存方法



生のものは新聞紙で包み、冷蔵庫で保存します。2~3日で使い切るのがベストです。茹でたものは、冷凍保存が出来ます。手元に参考文献がなく、私が実際に試したわけではないので、推測での発言になってしまいますが、茹でたものの冷凍保存の際は、冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存をすれば、約1か月は持たせられると思われます。みんなで育てて、みんなで食べる【シェア畑】
栄養素
こごみは、以下に挙げる栄養素の良き補給源になる可能性があります。こごみは山菜という事で、一度の食事で多くの量を食べる事は少ないですが、食べる量が少なくても、味も栄養素補給面においても良き山菜といえます。
β-カロテン
体内でビタミンAに変わる物質です。抗酸化作用があり、がんや動脈硬化予防などに役立ちます。皮膚や粘膜の健康維持にも欠かせません。
さらにビタミンAは目の健康にも強く貢献するので、不足すると、夜盲症などを引き起こしてしまう事があります。
ビタミンC
ビタミンCというと、酸っぱい食べ物に入っているイメージを抱く方もいるかもしれませんが、酸っぱくないこごみにも含まれています。
抗酸化作用があり、がんや動脈硬化予防などに役立ちます。また、コラーゲンの生成にも強く関わるので、美肌作りには欠かせません。その他、風邪などの感染症予防にも貢献します。
ビタミンCは水溶性のビタミンかつ、熱に弱いので、こごみを食べる時には、2分程度の茹で時間にとどめて、流失を少なくしてやると良いです(「こごみとは」でもお話ししましたが、こごみはアクが少ない山菜なので、たくさんの茹で時間を必要とはしません。必然的に、ビタミンCの流失や破壊が少なくて済みます)。
その他
こごみは食物繊維も豊富です。その多くは不溶性食物繊維のため、こごみの適度な摂取は、便秘や大腸がんの予防につながる事があります。その他、クロロゲン酸や、アミノ酸の一種であるカフェオイルホモセリンを含み、それらには抗酸化作用がある可能性が指摘されています。
おひたし、冷奴―齋藤瞬のチャレンジクッキング
前置き
今回、このようにこごみについての記事を執筆している私ですが、これまでの人生(2025年4月現在36歳9か月)において、私はこごみをあまり食べた事がありませんでした。
「こごみはこんな味だよ」と、人に説明する自信がないくらい、正直、こごみという山菜に対する味のイメージが湧きませんでした。
2025年春、自宅近くのスーパーに、幸運にもこごみが売られているのを発見したので、購入、試食してみる事にしました。50g程度の容量に対して税抜き498円と、決して安いものではありませんでしたが、青果の情報発信をしている者として、こごみという山菜の味を確かめてみないわけにはいかないと思い、購入しました。
試食は、おひたし、さらに冷奴の具材にして確かめてみました。
材料(1~2人前)

・こごみ・・・50g程度
・絹ごし豆腐・・・小1パック
・しょう油・・・お好みの量(後でお話ししますが、しょう油は使わない方がより美味しく食べられる事が多いと思われます)
工程
こごみの下処理をする
茎のかたいところを取り除き、水で洗ってやりましょう。もし、先端の渦状のところのゴミなどが気になるのであれば、それも取り除いてやりましょう。
塩を少量入れたお湯で2分ほど茹でる
やけどなどに気をつける以外に、特に注意するポイントはありません。普通に茹でてやりましょう。
茹でたら水で冷やしてやる
ここも特に注意すべき点はありません。敢えていうならば、水につけすぎると栄養素が流失してしまう事くらいです。
冷やしたら、食べやすい大きさに切る
大きさは、実際に料理をされる方の好みのサイズで問題ないです。
切ったこごみを皿、または豆腐(冷奴)の上に盛る
しょう油をかけたい方は、ここでかけましょう。みんなで育てて、みんなで食べる【シェア畑】
試食と感想


茹でてみると、とても色鮮やかになったのが印象的でした。特に匂いとか香りというたぐいのものは感じませんでした。
おひたしを食べてみて思ったのは、「まるでマイルドになったわらびのような味だ」という事です。わらびが野性的であれば、こごみは優しさを感じる味でした。山菜それぞれの個性を感じる事が出来た瞬間でした。
ただ、冷奴にして食べた時、私はしょう油をかけて食べましたが、しょう油をかけて食べると、こごみの味が死んでしまうのを感じました。冷奴のお供としてこごみを食べるのであれば、しょう油などの味つけは無しで、純粋にこごみと豆腐の味を楽しんだ方が良いと、私には思えました。
しかし、しょう油だと味が死ぬ一方で、かつお節との相性はどうなるのかと、少し気になりました。今後試してみたいと思います。
こごみという山菜について、少し知る事が出来た、大変有意義な時間になりました。
参考文献
・大場秀章著 株式会社新潮社発行「サラダ野菜の植物史」2004年5月15日 212~214頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 81、84頁