春菊とは
春菊とは、キク科キク属に属する野菜(葉茎菜類)です。緑黄色野菜に分類されます。旬は、11~3月頃の冬という事が多いです。原産地はヨーロッパですが、ヨーロッパで食用とされる事はあまりなく、観賞用植物として扱われる事が多くなっています。
日本には、戦国時代末期に伝わったとされています。中国から「食べる風邪薬」として伝えられ、江戸時代から栽培が始まりました。
良品の見分け方
※ここに挙げた特徴を持つ春菊を選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
※茎が太すぎるもの、長すぎるものは避けた方が良い事が多いです。
・葉先がピンとしているもの
・全体的に鮮やかな緑色のもの
・切り口が黄緑色でみずみずしいもの
・香りが強いもの
何となくほうれん草の良品の見分け方と似ていますね。ただしほうれん草と違い、葉が短く細いものの方が、良品である事が多いです。
保存方法

冷蔵の場合
湿らせた新聞紙で包んで保存袋に入れて、冷蔵庫の冷蔵室に立てて保存する。立てる時には、カットした牛乳パックやペットボトルなどを使ってやると、便利です。この方法で、1週間程度保存出来る事もあります。
冷凍の場合
生で保存する場合
良く洗い、しっかりと水気を拭き取ります。その後、好みの大きさに切り、冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存します。この方法で、1か月程度保存が利く事もあります。
加熱してから保存する場合
固めに塩茹でし、粗熱を取り水気を切り、ラップで小分けして、冷凍室で保存します。手元に資料がないので推測での発言になってしまいますが、この方法でも、1か月程度は保存が出来る場合があると思われます。
ワンポイントアドバイス
生で冷凍した場合も加熱してから冷凍した場合も、加熱料理に使う場合は、解凍せずに、そのまま加熱した方が、美味しく食べられる事が多いです。
栄養素
記事の序盤でもお話ししましたが、春菊は中国から、「食べる風邪薬」として日本に伝えられました。何百年も前に、当時を生きていた中国の人々、日本の人々は春菊の健康パワーを見抜いていたといえます。春菊は「食べる風邪薬」の名にふさわしい、高い栄養価を持っています。以下で、特に注目すべき栄養素について説明します。
β-カロテン
体内でビタミンAに変わります。厳密さを欠いてしまいますが、β-カロテン=ビタミンAという捉え方をするとわかりやすいです。ビタミンAは抗酸化作用があり、がん、動脈硬化、老化などを予防するのに役立ちます。また、皮膚や粘膜の健康維持にも役立ちます。
その他、目の健康維持にも強く関わるので、不足すると、夜盲症などを引き起こしてしまう事があります。
ビタミンB₂
脂質の代謝に強く関わるビタミンです。適度な摂取により、脂質からエネルギーを生み出せるので、疲れにくい身体を作れる事があります。不足すると、肌荒れや口内炎などを引き起こしてしまう事があります。
ビタミンE
強い抗酸化作用があり、「老化抑制ビタミン」の名もあります。血行を良くする事にも関わるので、適度なビタミンEの摂取は、冷え性や肩こりなどを改善してくれる事もあります。
その他、性ホルモンの生成・分泌にも関わるので、生殖機能を正常に保つ事にも役立ちます。
カリウム
体内の細胞の浸透圧を調節する働きがあります。体内の余分なナトリウムを体外に排出するので、高血圧や脳卒中の予防に役立ちます。
またカリウムは、筋肉の収縮や正常な神経の情報伝達にも関わるので、不足すると、不整脈やけいれんを引き起こしてしまう事があります。
カルシウム
ご存じの方も多いと思いますが、骨や歯の材料になり、人体に最も多く含まれるミネラルです。骨や歯に欠かせないだけでなく、心臓の機能調整、筋肉の収縮と弛緩、ホルモン分泌にも強く関わります。
香り成分
春菊には多くの香り成分が含まれています。その中でも、「α-ピネン」「ベンズアルデヒド」などには、胃腸の働きを整える他、のどの炎症を防ぐ効果があります。
その他
胎児やお子さんの発育に欠かせず、認知症を予防する可能性もしてきされている「葉酸」、貧血予防に役立つ「鉄」なども、春菊には含まれています。
健康に役立つ組み合わせ

※ここで紹介する以外にも、健康に役立つ組み合わせ(食べ合わせ)はあります。
レタスと組み合わせると
不眠予防などにつながる事があります。なお、レタスについては以下のリンクを参考にしてくださると嬉しいです(当ブログの別ページに飛びます)。
にんじんと組み合わせると
眼精疲労予防などに役立ちます。なお、にんじんについては以下のリンクを参考にしてくださると嬉しいです(当ブログの別ページに飛びます)。
ごまと組み合わせると
肌荒れ防止などに貢献します。
じゃがいもと組み合わせると
がん予防などにつながる事があります。なお、じゃがいもについては以下のリンクを参考にしてくださると嬉しいです(当ブログの別ページに飛びます)。
品種(一部)
スティック春菊
香りがマイルドで食べやすい品種です。生食も出来ます。
大葉春菊
「おたふく」「鍋春菊」の名でも呼ばれます。葉の切れ込みが浅く、肉厚です。
参考文献
・相馬暁著 株式会社三一書房発行「新装版 野菜学入門(初版)」2006年3月10日177~184頁
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 220頁
・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える!野菜の教科書」2017年6月2日 87頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日105頁
・名取貴光監修 株式会社高橋書店発行「新・野菜の便利帳」2021年8月30日 75頁
・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典最新版(初版)」2016年5月23日 165、239~264頁