「やまのいも」とは
やまのいもとは、ヤマノイモ科ヤマノイモ属に属する野菜です。広い意味でやまのいもを捉えると、原産地は熱帯亜熱帯地方や、中国、日本と、広範囲にわたります。
日本における旬は、10~3月頃です。青森や北海道などが、主な産地になっています。
簡単な歴史
やまのいものなかでも、自然薯(じねんじょ)は、日本に古くから存在する、日本原産のやまのいもです。
中国からも、自然薯とは別の品種が、奈良時代までには日本に伝えられていました。平安時代には野生種と栽培種が区別されるなど、歴史が長い野菜です。
良品の見分け方
※以下の特徴を持ったやまのいもを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
※表皮の一部分が茶色くなっているものは、劣化している可能性が高いので、選ばない方が良いです。ただし、これは野菜あるある話ですが、茶色くなっている部分を取り除くと、まだ食べられるやまのいももあるので、そのような商品が見切り品コーナーで売られている事もあります。
・ずっしりと重みを感じるもの
・太くてまっすぐなもの
・切り口が白い物
・ひげ根が少ない物(ひげ根が多い物は、アクが多く含まれていて、食べにくい事があります)
保存方法
常温保存の場合
新聞紙に包んで、冷暗所に置くと良いです。やまのいもの旬である冬に購入したものの場合、冬の寒さが功を奏して、冷蔵庫で保存するより長く保存出来る事もあります。
また、家庭でこの環境を作り出すのは難しい事が多いですが、「温度3℃、湿度80~90%」の貯蔵空間を作り、そこに保存すると、ひと冬保存出来る上、味も甘みが増します。
冷蔵の場合
カットしたものの場合は、ラップで包んで、ポリ袋に入れて、野菜室で保存します。これで約1週間保存出来る事もあります。
1本丸々のまま保存する場合、新聞紙で包んで、野菜室で保存します。これで1か月ほど保存出来る事もあります。ただし前述の通り、冬場は常温保存した方が、長くもつ事もあります。
冷凍の場合
カットしたものの場合は、酢水に5分つけて、水気を切り、冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。これで2~3週間持つ事もあります。
※小分けして保存すると、さらに便利になります。
すりおろしたものは、冷凍用保存袋に入れて冷凍室で保存して下さい。すりおろしたものは1か月保存できる事もあります。
栄養
やまのいもは、ビタミンB₁やビタミンC、カリウムなどを程よく含んでいます。また、胃腸の調子を良くするジアスターゼを含んでいます。以下ではそれぞれ簡単に説明します。
ビタミンB₁
糖質の代謝に欠かせません。ビタミンB₁の適度な摂取により、疲労感の軽減などにつながる事があります。
ビタミンC
抗酸化作用があり、がん予防などに役立ちます。免疫を強くする事にも関係し、風邪などの感染症予防にも有効です。さらに、肌を美しくするのにも、役立つ事があります。
カリウム
体内の余分なナトリウム(塩分)を、体外に排出してくれる働きがあります。
またカリウムは、筋肉の収縮や神経伝達を正常に保つ働きがあり、不整脈やけいれんを防ぐのに役立つ事もあります。
ジアスターゼ(アミラーゼ)
やまのいもの長所の一つが、このジアスターゼを多く含んでいる事です。ジアスターゼは、消化を助ける効果があります。そのために、やまのいもは、いもでありながら生食出来るのです。
ジアスターゼは加熱すると効果がなくなるので、ジアスターゼの恩恵を受けたい(やまのいもそのもの以外の、食べた物の消化を助けたい)のであれば、生食する事をおすすめします。
健康に良い組み合わせ
※ここで紹介する以外にも、健康に良い組み合わせ(食べ合わせ)はあります。
大根と組み合わせると
胃腸の働きの強化につながる事があります。また、食欲を増進させる効果も期待出来ます。
モロヘイヤと組み合わせると
血中コレステロール値低下、スタミナ増強に役立つ可能性があります。
大豆と組み合わせると
ホルモンバランスの調節などに役立ちます
キャベツと組み合わせると
がん予防につながる可能性があります。その他に、老化防止にも役立つ事があります。
品種(一部)
自然薯(じねんじょ)
自生している野生種です。長さは1m程になる事もあります。粘りが強くて美味しい品種で、最近は栽培もされるようになっています。
つくねいも
近畿・中国地方で多い、げんこつのような形をしているやまのいもです。和菓子の原料にも使われます。
いちょういも
関東では大和いもとも呼ばれます。粘りが強く、いちょう(銀杏)に似た形をしています。
料理紹介―マグロの山掛け
前置き
やまのいもをすりおろして、まぐろの上に掛けて食べる。単純ながらも美味しく食べる事が出来る料理です。
材料(1人前)
・やまのいも(長いも)・・・約200g
・マグロ・・・約100g
・しょう油・・・お好みの量
・わさび・・・お好みの量
工程
1.やまのいもをとろろにする
2.まぐろを食べやすい大きさに切る
3.マグロを皿にのせ、とろろをかける
4.お好みでしょう油とわさびを混ぜて、完成です
食レポ(感想)
今回の料理では、特に工夫らしい工夫はしていませんが、それでもその美味しさに、一気に完食してしまいました。
マグロの山掛けを食べたのは今回が初めてというわけではありません。だからこそ、気がつけた事があるのですが、とろろがマグロの味を引き立ててくれている上に、優しい味わいにもしてくれている事に気がつけました。
山の幸と海の幸が調和した、とても良い料理だと思いました。
ワンポイントアドバイス
やまのいもを料理していると、手がかゆくなる事がありますが、これはやまのいもに含まれるシュウ酸の刺激によるものです。
これを軽減するには、手を酢水につけてから料理に取り掛かると良いです。
参考文献
・相馬暁著 株式会社三一書房発行「新装版 野菜学入門(初版)」2006年3月10日 216~221頁
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 134~141、209頁
・板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい 野菜の便利帳」2021年11月15日 84~85頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 65頁
・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える! 野菜の教科書」2017年6月2日 64~65頁
・足立香代子監修、kirishima・サイドランチマンガ 株式会社池田書店発行「マンガでわかる栄養学」 2021年12月20日 98~103、112頁