「カリフラワー」とは
カリフラワーは、アブラナ科の野菜です。アブラナ科の野菜といえば他に、キャベツ、大根、白菜、カブ、菜の花、からし菜、漬け菜などが挙げられます。
これらの野菜と仲間といわれても、あまりピンと来ないかもしれませんが、ブロッコリーもアブラナ科の野菜、という知識を得ると、「カリフラワーがアブラナ科の野菜」という事実も、すっきりと飲み込みやすくなるかもしれませんね。
現代の日本では、一年を通して手に入れられますが、本来の旬は11月~3月、つまり、晩秋から冬という事が多いです。しかし、北海道や長野県などの高地で夏に採られたカリフラワーも、とても美味しく食べる事が出来ます。
原産地と歴史
原産地は、小アジアを含んだ地中海沿岸から、イギリスのドーバー付近に自生していた、野生の不結球性ケールが原型と言われています。
この不結球性のケールが変化していき、結球した葉を食べるものがキャベツ、小さく結球した脇芽を食べるのが芽キャベツ、茎が肥大化したものがコールラビ(カブキャベツ)、緑色の葉を食べるのがケール、ケールが色づいたのが葉ボタンです。葉ボタンは観賞用に用いられますが、観賞するのにふさわしい美しさを誇ります。
キャベツの花蕾が肥大したものがブロッコリーで、ブロッコリーが突然変異したものがカリフラワーです。カリフラワーという野菜のルーツを、遡れるだけ遡ると、紀元前540年頃に、キャベツの頂部のまだ開花していない蕾(つぼみ)を食べたとされる記録があります。
しかし、現在多くの方が「カリフラワーといえば、これ!」と思い浮かべるであろう、一般的なカリフラワーの本格的な歴史は、16世紀中頃の南ヨーロッパ―イタリアやフランスが主―始まりです。そこから、17~19世紀の間に、ヨーロッパの多くの地域にカリフラワーは広まりました。広まる過程で品種改良などの工夫がされて、いまのカリフラワーが出来上がりました。
日本には明治になって、政府が産業奨励をすすめる中で、ブロッコリーと共に、各地で施策がされました。しかしこの時は、西洋野菜という域を脱する事は出来ず、一般には広まりませんでした。
一般の人々にカリフラワーが見直されたのは、第二次世界大戦が終戦してからです。アスパラガス、セロリと共に「洋菜の三白」と呼ばれ、1965年頃から、需要が急速に伸びました。
ちなみに、カリフラワーと兄弟ともいえるブロッコリーが日本で一般化したのは、カリフラワーよりも10年以上後になってからです。
良品の見分け方
※これらの特徴を持つものを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
・つぼみがクリーム色で、こんもりと盛り上がっているもの
・つぼみが密集しているもの
・つぼみの周りの葉の色が、鮮やかな緑色のもの
※逆に、以下の特徴があるものは、避けた方が良いです。
・つぼみに黒いくすみや斑点があるもの
・つぼみにうぶ毛が生えているもの(成長し過ぎていて味が落ちている事が多いです)
保存方法
冷蔵の場合
・濡らしたペーパータオルで包む、またはラップで包んで、冷蔵庫の冷蔵室に立てて保存する。
・水気を切ってペーパータオルで包み、ポリ袋に入れて、冷蔵庫の冷蔵室またはチルド室に立てて保存する。
※いずれの場合も、カリフラワーを立てるのに、カットした牛乳パックまたはペットボトルを使うと便利です。また、濡らしたペーパータオルで包んだ方が乾燥を防ぎやすいですが、カビなどには注意して下さい(時々様子を見ましょう)。いずれの方法も、約1週間保存出来る事が多いです。
冷凍の場合
・生のものを保存する場合
よく洗い水気を切って、好みの大きさにカットします。ラップで小分けにして冷凍用保存袋に入れて、冷凍庫で保存します。この場合、約1か月保存出来る事もあります。
・茹でたものを保存する場合
固めに茹でて粗熱を取り、ラップで小分けにして冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存します。この場合、かなりの長期間保存出来る事もあります。
栄養素
カリフラワーは、ビタミンB₁、B₂、Cなどを良く含みます。ここでは主にそれらについて説明します。
ビタミンB₁
糖質の代謝に欠かせないビタミンです。不足すると、疲労感やイライラなどにつながる事があります。
おやつで甘い物を食べた時に、カリフラワーも食べると、糖質が効率良くエネルギーに変換されやすくなり、元気が出る事があるかもしれません。
ビタミンB₂
脂質の代謝に強い関わりを持つビタミンです。不足すると肌荒れや口内炎につながる事があります。
カリフラワーと少量のマヨネーズ、またはオイルドレッシングを使って食べる事で、お肌の調子が良くなる事があるかもしれません。
ビタミンC
抗酸化作用があり、がんや動脈硬化などを防いでくれる事があります。また、肌を良くする効果がある他、かぜなどの感染症予防にも役立ちます。
その他の栄養素
少量ながら、カリフラワーにはショ糖や果糖、マンニットといった甘みを感じる成分が含まれているので、ゆっくり味わって食べる事で、カリフラワーの甘み(美味しさ)をより味わう事が出来ます。
また、アスコルビナーゼというビタミンCを破壊する作用がある成分が含まれていますが、これは加熱するか、レモン汁をかける事で防げます。一概に、どれほどの量のカリフラワーを食べると、アスコルビナーゼの悪影響を受けるかははっきりしていませんが、多量かつ生で食べない限りは、悪影響を受ける可能性は低いので、安心して下さい。
健康に良い組み合わせ
※ここで紹介する以外にも、健康に良い組み合わせ(食べ合わせ)はあります。
ゆずと組み合わせると
血管の若返りや血行促進などにつながる事があります。
うなぎと組み合わせると
イライラの解消やがん予防、老化防止につながる事があります。
アーモンドと組み合わせると
認知症予防などにつながる事があります。
煮干しと組み合わせると
集中力アップや骨粗しょう症予防などにつながる事があります。
ここで補足
カリフラワーには、出来てしまったがん細胞を増殖させにくくする効果(抗プロモーション効果)があります。また、先ほども紹介したビタミンCも良く含むため、美肌作りにも良いといえます。
品種(一部)
ロマネスコ
イタリアの伝統品種です。「うずまき」や「さんごしょう」の別名もあります。美しい形が特徴で、黄緑色をしています。
オレンジブーケ
参考文献
・相馬暁著 株式会社三一書房発行「新装版 野菜学入門(初版)」2006年3月10日 232~235頁
・青葉高著 株式会社八坂書房発行「日本の野菜文化史事典(初版)」2013年9月25日 192~196頁
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 216頁
・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える! 野菜の教科書」2017年6月2日 81頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 125頁