レモンとは
レモンとは、ミカン科ミカン属に属する果物(香酸柑橘類)です。酢と並んで、「酸っぱい」イメージがある食材の代表格ともいえる果物です。日本において多く出回っているレモンは皮が黄色であるものが多い事から、その鮮やかな黄色も特徴の一つといえます。
果汁(レモン汁)で魚介類や肉類を食べやすくする他、砂糖などで甘みをつけて食される事もある、用途が広い食材です。日本国内で生産されるものの多くは、9~1月の、秋や冬が旬である事が多くなっています。時々、「酢みかん」と呼ばれる事もあります。
簡単な歴史
原産地は、インドのヒマラヤ山麓です。スペインに伝わった後、地中海沿岸に広まり、15世紀にはアメリカにも渡ったとされます。世界的にみた現在の主要生産地は、アルゼンチン、地中海沿岸諸国、アメリカとなっています。
日本には明治初期に伝わり、気候が温暖な瀬戸内海地方を中心に栽培されています。1964年の輸入自由化に伴い、国産レモンは壊滅的なダメージを受けてしまいますが、完全に消滅したわけでなく、むしろ国産レモンを好む方もいます(参考記事のリンクをはります)。

良品の選び方

※ここに挙げた特徴を持つレモンを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
※腐っているものやカビが生えているものは、選ばない方が良いです。
・重量感があるもの
・両端をつまんだように対称の紡鐘(ぼうすい)形をしているもの
・皮がなめらかで色にムラがないもの
・皮の外側からでも香りがするもの
保存方法
ビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室に保存しましょう。場合によっては、1か月保存出来る事もあります。すぐに使う(数日以内)場合は、風通しが良く涼しい場所で常温保存も出来ます。レモンが大量にある場合は、果汁を絞って製氷皿に入れ、小分け保存という方法も出来ます。
コラムその1―残留農薬による健康被害を、少しでも下げる方法
外国産のレモンを使う場合に心配になるのが、ポストハーベスト農薬による健康被害です。ポストハーベスト農薬とは、収穫後に行う防腐剤や防カビ剤による処理の事を指し、日本国内では認められていない方法です。
輸入する際に、基準値検査が行われているので、深刻な健康被害が出る可能性は低いといえますが、やはり不安になる方もいらっしゃると思います。そこで、家庭で出来る、少しでも健康被害に遭う可能性を下げる方法として、料理前に適量の塩でレモンの皮を揉んでやるという方法があります。揉んだ後は、こすりながら水洗いをします。浸透圧で汚れやゴミが落ち、香りもアップします。
ただし、マーマレードを作る場合など、皮そのものを料理に使いたい時は、面倒でも防腐剤や防カビ剤などが使われていないものを使用しましょう。
栄養素
ビタミンC
「レモン=ビタミンC」を思い浮かべる方も、決して少なくないと思われます。そして思い浮かぶイメージ通り、レモンにはビタミンCが豊富に含まれています。重箱の隅をつつくようなうんちくを語ると、レモンをはるかに凌ぐ量のビタミンCを含む食材(例えばアセロラ)もありますが、レモンはビタミンCの摂取源に十分なり得ます。
ビタミンCは、抗酸化作用があり、がんや動脈硬化、老化予防などに役立ちます。コラーゲンの生成にも関わるので、美肌作りには欠かせません。また、風邪などの感染症予防にも役立ちます。
その他
苦み成分ヘスペリジン(ビタミンPとも呼ばれます)には、毛細血管を健全に保ち、内出血を抑制する効果があります。その他、酸味のもとであるクエン酸には、殺菌作用や抗酸化作用、疲労回復効果などがあります。皮に含まれるポリフェノールは、ビタミンCの働きを助けてくれます。
コラムその2―シンクがきれいに

酸味のもとであるクエン酸には、水あか汚れを落とす効果もあります。シンクをレモンの皮でこすってやると、水あか汚れをきれいに落とせる事もあります。掃除に役立ててやりましょう(家庭によっては上手く効果を発揮しない事もありますが、知恵として覚えておいて損はないといえます)!
健康効果
レモンを適度に摂取する事で、以下に挙げる健康効果を得られる可能性があります。
・疲労回復
・免疫力の増強
・抗ストレス作用
・高血圧の予防・改善
レモンと相性が良い食材として、(貝類の)カキが挙げられます。カキに含まれる動物性の鉄の吸収効率を、レモンに含まれるビタミンCが高めてくれる事から、貧血予防に役立つ可能性を秘めています。
品種(一部)

リスボン
カリフォルニアの内陸で生産される、代表的なレモンです。日本でよく見られるレモンであるサンキストレモンは、実はこのリスボンである事が多いです。
小笠原レモン
小笠原諸島で作られるレモンです。果実は緑色である事が多い(黄色のものも存在します)ので、グリーンレモンとも呼ばれます。料理の香りづけで力を発揮します。
参考文献
・社団法人農山漁村文化協会編・発行 地域食材大百科 第3巻「果実・木の実,ハーブ」2010年8月25日 386~389頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日168~170頁
・三輪正幸監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい フルーツの便利帳」2018年9月5日 46~48頁
・名取貴光監修 株式会社高橋書店発行「新・野菜の便利帳 健康編」2021年8月30日 60頁
・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典最新版(初版)」2016年5月23日 152、239~264頁