「ビタミン」という栄養素自体の簡単な説明
ビタミンとは、身体の調子を整えたり、エネルギーを作るのを助けるのに必要な有機化合物です。タンパク質や糖質、脂質に比べれば、相当少ない量で一日に必要な量をまかなえますが、ビタミン自体は生きていくうえで絶対に摂らなければならない栄養素です。体内で合成できないか、できても量が少ないため、食事から摂取する必要があります。
肉や魚などに含まれていることもありますが、広い意味でビタミンをとらえたとき、ミネラル同様、野菜や果物などからも、摂る機会が多い栄養素です。主食や肉、魚などの主菜でせっかくタンパク質、糖質、脂質からカロリーを得ることができても、ビタミンの助けがなければ、エネルギーに変換することが、難しくなります。さらに、皮膚や目、筋肉、血管、骨、神経などの健康を保つのにも欠かせません。
ビタミンを大きく二つに分けると、油(脂質)に溶ける「脂溶性ビタミン」と水に溶ける「水溶性ビタミン」にわけることができます。脂溶性ビタミンは、身体に貯蔵することができる一方で、過剰摂取に注意しなければいけないこともあります。水溶性ビタミンは、身体が今この瞬間必要としている分だけを取り込むので、過剰摂取の心配が基本的にはない代わりに、身体に貯蔵することができないので、こまめに食事から摂取する必要があります。
ビタミンは、20世紀初頭から研究が進んでいき、発見された順にアルファベットが割り当てられていますが、物質名で呼ばれることもあります。また、ビタミンと似た働きをしますが、体内で合成できるなど、不足しても生命や健康を維持するのに影響がないことが多い「ビタミン様物質」という物質もあります。
ここから、今回のテーマである「ビタミンA」について勉強していきます。
ビタミンAの簡単な説明
説明
肉類では鶏レバーや豚レバー、魚介類ではアンコウの肝、野菜類ではしそやモロヘイヤ、にんじんやあしたばなどに多く含まれている、脂溶性ビタミンです。緑黄色野菜に、その野菜が分類されるか否かは、プロビタミンA(やがて体内でビタミンAになる物質という意味です)の一つであるカロテンが関係しています(緑黄色野菜の詳しい解説については以下のリンクを参照してください(厚生労働省のページに飛びます))。https://www.mhlw.go.jp/topics/0106/tp0628-2.html
健康効果
目の健康や皮膚、粘膜の健康を保つのに効果があります。不足すると成長障害や夜盲症、粘膜や皮膚の乾燥を引き起こしてしまいます。一方で、過剰に摂取してしまうと、頭痛、吐き気、肝障害を引き起こす可能性があるほか、妊娠初期に過剰に摂取すると、胎児に悪影響がある可能性が指摘されています。
多く含む食材
鶏レバーや豚レバーには、過剰摂取に気を付けなければいけないくらいに、豊富にビタミンAのもとになるレチノールが含まれています。
一方、野菜にも主にカロテンという形で含まれていることがあり、カロテンには抗酸化作用があります。抗酸化作用とは、人体に悪影響を及ぼす活性酸素の働きや発生を抑える作用のことです。肉類や魚介類では、この抗酸化作用は期待できません。これこそが、野菜からビタミンAを摂取しようとすることのメリットです。
ただし、繰り返しになりますが、ビタミンA自体は脂溶性のため、油と一緒に摂ると人体への吸収の効率が良くなります。健康・体重管理の敵となることが多い油ですが、摂ってはいけないのではなく、摂りすぎがいけないのです。
摂取に役立つ食材(主に野菜)
ここからは、主に野菜に焦点を当てて摂取に役立つ食材を紹介していきます。全てを紹介することはできませんが、手に入れやすい野菜を主に紹介します。
にんじん
可食部100グラムあたりの含有量(レチノール活性当量)のトップこそモロヘイヤに譲りますが、手に入れやすさでは恐らくにんじんに軍配が上がるでしょう、ビタミンA摂取源の代表的野菜です。品種改良が進んでおり、独特の強い香りが抑えられているものも誕生してきていることから、にんじんが苦手な方でも食べやすくなりつつあります。
ちなみにセリ科ということで、セロリやパセリなどの仲間です。
ほうれん草
冬が旬の緑黄色野菜です。ビタミンAの摂取源になるだけでなく、貧血予防に有効とされる葉酸や鉄を多く含むなど、ビタミンやミネラルの宝庫とも呼べる野菜です。
かぼちゃ
夏野菜ですが、「冬至の南瓜(かぼちゃ)」と、冬に食べることもあるくらい保存性に優れている野菜です。スイーツの材料にもなることがあるなど、濃い甘味があります。
当ブログでかぼちゃについて解説しているので、よろしければ以下のリンクを参考にしてください。https://shunnayasai.com/pumpkin/
トマト
厚生労働省が定める緑黄色野菜の基準であるカロテン当量こそ満たしていないものの、一回に食べる頻度や食べる量が多いことから、緑黄色野菜に分類されます。それだけビタミンAの摂取源になりやすいということになります。
当ブログでトマトについて解説しているので、よろしければ以下のリンクを参考にしてください。https://shunnayasai.com/tomato/
ピーマン
好みが分かれる野菜ですが、好きな方にとっては苦みが良いとされることが多い野菜です。とうがらしの甘味種で、ナス科ということで、ナス、トマト、そしてじゃがいもの仲間です。
当ブログでピーマンについて解説しているので、よろしければ以下のリンクを参考にしてください。https://shunnayasai.com/sweetpepper/
参考文献
本文中に掲げたもののほか、
栄養学関連
・飯田薫子 寺本あい監修 西東社発行「一生役立つ きちんとわかる栄養学」 2021年第2版 16~17頁、88~91頁
・大久保研之 深津章子著 新星出版社発行「新 栄養の教科書」 2022年初版 112~115頁
・足立香代子監修 kirishima サイドランチマンガ制作 池田書店発行「マンガでわかる栄養学」 2021年発行 94~97頁
野菜関連
・白鳥早奈英 板木利隆監修 高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」 2020年 16頁