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【この記事は2023年6月17日に初投稿されました。】
「ビタミン」という栄養素自体の簡単な説明
ビタミンとは、身体の調子を整えたり、エネルギーを作るのを助けるのに必要な有機化合物です。タンパク質や糖質、脂質に比べれば、相当少ない量で一日に必要な量をまかなえますが、ビタミン自体は生きていくうえで絶対に摂らなければならない栄養素です。体内で合成できないか、できても量が少ないため、食事から摂取する必要があります。
肉や魚などに含まれていることもありますが、広い意味でビタミンをとらえたとき、ミネラル同様、野菜や果物などからも、摂る機会が多い栄養素です。主食や肉、魚などの主菜でせっかくタンパク質、糖質、脂質からカロリーを得ることができても、ビタミンの助けがなければ、エネルギーに変換することが、難しくなります。さらに、皮膚や目、筋肉、血管、骨、神経などの健康をと保つのにも欠かせません。
ビタミンを大きく二つに分けると、油(脂質)に溶ける「脂溶性ビタミン」と水に溶ける「水溶性ビタミン」に分けることができます。脂溶性ビタミンは、身体に貯蔵することができる一方で、過剰摂取に注意しなければいけないこともあります。水溶性ビタミンは、身体が今この瞬間必要としている分だけを取り込むので、過剰摂取の心配が基本的にはない代わりに、身体に貯蔵することができないので、こまめに食事から摂取する必要があります。
ここから、今回のテーマである「ビタミンB1」と「ビタミンB2」について勉強していきます。
ビタミンB1
簡単な説明
1910年に、鈴木梅太郎博士らが発見した栄養素で、化学名は「チアミン」といい、食品の中ではリン酸とくっついています。
摂取すると消化管でリン酸から離れ、チアミンとなって小腸で吸収されます。そして、小腸の細胞で再びリン酸とくっついて、チアミン二リン酸(TPP)となります。
このチアミン二リン酸が、糖質からエネルギーを生み出す(糖代謝)際に働く酵素(エンザイム)の働きを助ける補酵素(コエンザイム)の役目を果たすのです。
酵素は、化学反応を促進する働きを持つ物質、つまり触媒です。酵素さえあれば起こせる化学反応もありますが、「触媒の触媒」つまり補酵素の力なしには起こすことのできない化学反応もあるのです。
糖代謝を起こすには、ビタミンB1が欠かせません。
不足又は過剰になると
不足すると
糖代謝を起こしにくくなるため、エネルギー不足に陥る可能性があります。その結果疲労感やイライラが引き起こされる可能性があります。
慢性的な不足になると、脚気やウェルニッケ脳症になってしまう可能性があります。
過剰になると
ビタミンB1、つまりチアミンは摂りすぎた分は水に溶けて排出されるため、基本的に過剰症を心配する必要はありません。
野菜・果物・山菜・きのこ・海藻などで多く含む食材(可食部100g中)
日本食品標準成分表(八訂)によると
・松の実・・・0.61mg
・カシューナッツ・・・0.54mg
・大根のぬかみそ漬け・・・0.33mg
・大豆(ゆで)・・・0.17mg
※上記で挙げた写真のような生ハムをはじめとした豚肉やうなぎ、たらこなどの肉類や魚介類などの方がたくさん摂れることが多いです。
※摂取基準は、30~49歳の男性の場合、一日に1.4mg、同じく女性の場合、1.1mgです(「日本人の食事摂取基準2020年版」より)。
気をつけるとよいこと
運動をたくさんする人や、ご飯や麺類、甘いものからたくさん糖質を摂取する人は、ビタミンB1不足にならないように心がけると良いでしょう。
ビタミンB2
簡単な説明
リボフラビンとも呼ばれるビタミンB2は、糖質、脂質、たんぱく質(三大栄養素)をエネルギーに変える、補酵素として働きます。とくに、脂質の代謝に強く関わってきます。
また、たんぱく質の合成を助けて、皮膚や爪、髪などの細胞の再生と新生を助けることから、別名「発育のビタミン」とも呼ばれます。
そして、老化や生活習慣病の原因となる過酸化脂質を消去する働きに関わります。過酸化脂質に関わるビタミンにはビタミンEとB2がありますが、ビタミンEが生成を抑え、B2は過酸化脂質を分解する酵素の働きを助けます。
生体内のビタミンB2、つまり、リボフラビンの多くは、フラビンモノヌクレオチド(FMN)、またはフラビンモノヌクレオチドにアデノシン1リン酸(AMD)が結合しているフラビンアデニシンヌクレオチド(FAD)という形で存在しています。
FMNやFADは、調理、加工や消化によってリボフラビンに分解され、小腸の細胞でまたFMNやFADとなり、補酵素として働きます。
不足又は過剰になると
不足すると
エネルギー不足による成長不良や、口角炎や口唇炎、皮膚炎などといった病気を引き起こす可能性があります。
過剰になると
ビタミンB2は、摂りすぎても水に溶ける(水溶性ビタミン)ので、基本的に摂りすぎを心配する必要はありません。ただし、尿が黄色やオレンジ色になることがあります。
野菜・果物・山菜・きのこ・海藻などで多く含む食材(可食部100g中)
日本食品標準成分表(八訂)によると
・アーモンド(乾)・・・1.06mg
・モロヘイヤ・・・0.42mg
・しそ・・・0.34mg
・ブロッコリー・・・0.23mg
・ほうれん草・・・0.20mg
※・豚レバー・・・3.60mg
・鶏レバー・・・1.80mg
※摂取基準は30~49歳の男性の場合、一日に1.6mg、同じく女性の場合、1.2mgとなっています。
当ブログ内の栄養に関するリンク
ビタミンAについてhttps://shunnayasai.com/vitamina/
参考文献
・飯田薫子 寺本あい監修 西東社発行 「一生役立つ きちんとわかる栄養学」 2021年第2版 98~101頁
・大久保研之 深津章子著 新星出版社発行 「新 栄養の教科書」 2022年初版 122~125頁