「ヤーコン」とは
ヤーコンとは、キク科ポリムニア属に属する野菜(根菜)です。「アンデスポテト」と呼ばれる事もあります。
原産地は南アメリカ、アンデス地方とされています。日本における旬は10~12月頃で、日本に住む多くの方々にとって、その歴史は新しい野菜です。
近年、その食べやすい味や健康効果が注目されています。
良品の見分け方
※これらの特徴を持ったヤーコンを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
・全体がふっくらとして、重みがあるもの
・カットされているものの場合は、中身がほんのりオレンジまたは黄色がかっていて、みずみずしいもの
保存方法
土つきのまま新聞紙に包んで、冷蔵庫で保存します。3~4日で使い切るのが望ましいです(後述しますが、ヤーコンの健康効果を得たいのであれば、購入後なるべく早く食べてしまいましょう)。
※私の手元に参考となる資料がないので、自信を持っての助言は出来ません。その上で、すでにカットしたものを保存したい場合は、保存袋または保存容器に入れて、冷蔵庫で保存すると良いと、私は考えます。この場合、2~3日で使い切るのが望ましいといえます。
栄養
ヤーコンはそのほとんどが水分で出来ているため、多量に栄養素を含んでいるわけではありません。
しかし、以下に挙げる栄養素を少しずつ含んでいます。
ビタミンB₁
糖質の代謝に欠かせないビタミンです。不足すると疲労が回復しないなどの症状に陥る事があります。
ビタミンB₆
タンパク質の代謝に重要な働きをします。皮膚や粘膜の健康を維持し、アレルギー症状を起こしにくくします。
葉酸
赤血球の合成に強く関わり、細胞分裂を助けます。妊娠中の方や、成長期のお子さんに欠かせません。
カリウム
体内の余計なナトリウム(塩分)を体外に排出してくれる働きがあります。この働きのおかげで、高血圧や脳卒中を防いでくれる事があります。
またカリウムには、筋肉の収縮や神経伝達を正常に保つ働きがある事から、摂取する事で、不整脈やけいれんの予防にも役立ちます。
フラクトオリゴ糖
整腸作用があります。近年ヤーコンが注目を浴びているのは、このフラクトオリゴ糖を含んでいる事が大きいです。
貯蔵して時間が経つと、フラクトオリゴ糖は分解されて、その恩恵にありつけなくなるので、健康効果を得たいのであれば、早めに食べましょう(3~4日置いただけでも分解されてしまいます。ただし、分解されて出来るのはショ糖や果糖、ブドウ糖。つまり甘みが増すのです。味を楽しみたいのであれば、敢えて3~4日置く手段もあります)。
クロロゲン酸(アク成分)
アク成分でもあるため、アク抜きをせず多量に残ったままだと、ヤーコンそのものを食べにくくしてしまいます。
しかしクロロゲン酸はポリフェノールの一つでもあり、がん抑制効果があるため、アク抜きは数分水に晒す程度に留める事で、適度にクロロゲン酸を残す事が出来ます。
健康効果
ここに挙げる効果が必ず得られるというわけではありませんが、適度にヤーコンを食べる事で、以下のような恩恵を得られる事があります。
・がん予防
・整腸作用
・便秘予防
・コレステロールの上昇抑制
試食レポート―生食してみました!
「ヤーコンは生食可能」と知り、購入したヤーコンを生食してみました!
まずは皮をむいたものを食べてみましたが、食べる前にその色をよく見てみましたが、ほんのりオレンジがかっていて、とても食べやすそうに見えました。
実際に口に入れて噛み締めてみると、「梨と似たような甘みをほんのり」感じる事が出来ました。そこに若干の土臭さはありましたが、気になるほどではなく、むしろ野性味を感じられて美味しいと思いました。
皮も食べられる上、皮の方に多くのポリフェノールも含まれるため、皮つきのものも食べてみましたが、より野性味があって、心や身体に力が湧いてくる感じがありました(卑猥な意味ではなく、真面目な意味で、精力が湧いてきた感じがありました)。
「ヤーコンのお吸い物」
前置き
ヤーコンをたくさん食べたい人におすすめの料理です。良い意味でアバウトに作る事が出来ます。
材料(5~6人前)
・ヤーコン・・・150~200g程度
・にんじん・・・二分の一本程度
・あさりのむき身・・・150~200g程度
・水・・・1.2リットル程度
・顆粒だし・・・大さじ1弱
・しょう油・・・大さじ1~2
・料理酒・・・大さじ1程度
工程
1.ヤーコンは洗って皮をむき、食べやすい大きさに切る
2.にんじんを食べやすい大きさに切る
※皮をむく必要はありません。
3.鍋に水、ヤーコン、にんじん、あさりのむき身を入れて、火にかける
4.3が沸いたら、顆粒だし、しょう油、料理酒も鍋に入れて、混ぜ合わせる
5.ひと煮立ちさせたら火を止め、お椀に盛って、完成です
食レポ(感想)
私が実際にこのお吸い物を作った時には、顆粒だしの量がやや多くなってしまった事から、アクらしきものが浮かんでしまいましたが、それでも味自体は整っていて、とても美味しく食べる事が出来ました。
自画自賛になってしまいますが、あまりにも美味しすぎて、一度の食事で4杯食べてしまったほどです(笑)。
ヤーコンのほんのりのした甘さと、お吸い物の塩味は、相性が良く、むしろお互いを引き立て合う感じさえありました。
参考文献
・板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい 野菜の便利帳」2021年11月15日 88頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 75頁
・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬 おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典 最新版(初版)」2016年5月23日 188頁
・足立香代子監修、kirishima・サイドランチマンガ 株式会社池田書店発行「マンガでわかる栄養学」2021年12月20日 98~101、112、120~121頁