シソとは
シソとは、シソ科シソ属に属する香味野菜です。旬は、赤ジソは6~8月、青ジソは7~10月という事が多いです。
その昔、カニを食べて食中毒になった少年に、シソを与えたところ元気を取り戻したという伝説が中国に残っているなど、殺菌作用が高い食材です。日本においても大昔からその殺菌作用や香りの良さなどが認められていて、近年は「和風ハーブ」と呼ぶ方もいます。
簡単な歴史
原産地は中国付近とされています。ヒマラヤからミャンマー、中国にかけて自生しています。日本にシソが伝来したのは大変古く、各地の縄文時代の遺跡からも、シソの種子が出土しているほどです。
恐らく日本にシソが伝来してからそう時間が経つ事なく、日本に住む人々にとって重要な食材扱いされ始めたと思われ、平安時代の書物「延喜式」、江戸時代の書物「農業全書」にも、シソの記述があります。
良品の選び方
※ここに挙げた特徴を持つシソを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
・葉の緑色が鮮やかなもの
・葉先までピンとしているもの
・葉に厚みがあるもの
・茎に黒ずみがないもの
・香りを確かめられる場合、香りが良いもの
保存方法

冷蔵の場合
茎を1〜2mm程度切り落とし、少量の水を入れた容器に入れ、ラップまたはフタをして、冷蔵庫の野菜室に保存します。この方法で、2週間ほど保存出来る事もあります。
冷凍の場合
千切りにして、冷凍用保存袋または冷凍用保存容器に入れて、冷凍室で保存します。この方法で、3週間ほど保存出来る事もあります。
私は青果について学び始める前まで、まさかシソを冷凍保存出来るとは思っていませんでした。あの小さい葉を冷凍してしまったら、(アバウトな表現になってしまいますが)シソがヒドい姿になってしまう気がしていたのです。
むしろ千切りにしてその葉をさらに小さくしても、袋または容器に入れて保存すれば、3週間ほど保存出来てしまう事もある。学んで初めてわかる事もありますね。
コラム―加齢と共に
大人は好む人が多いのに、子どもは嫌がる事が多い食材、意外とありますよね。シソもその一つだと、私は思います。
「子どもは嫌がる事が多い」と書きましたが、私は2025年7月で37歳になるのに、2025年6月になっても、シソがあまり得意ではありません(笑)。
しかし、細かく千切りにして少しずつ食べると、私にとっての好物に早変わりします。どうも、シソの葉丸々一枚というのは、私にとっては香りが強すぎるようです。私は最近になって、それに気がつけました。
加齢と共に学べる事、色々ありますね。人はいつまでも成長出来る生物なのかもしれませんね。全国70農園展開中!【シェア畑】
栄養素
シソは香味野菜という事で、一度にたくさんの量を食べるのは難しく、栄養素の補給源になるのは難しい面があるかもしれません。しかし、シソそのものには大変多くの栄養素が詰まっています。その主なものについて、以下で解説します。
β-カロテン
体内でビタミンAに変換されます。厳密さを欠いてしまいますが、β-カロテン=ビタミンAという捉え方をして問題ない場面は多いです。
ビタミンAには抗酸化作用があり、がんや動脈硬化、老化の予防などに役立ちます。また、皮膚や粘膜の健康維持にも関わります。その他、目の健康維持にも欠かせないので、不足すると夜盲症などを引き起こしてしまう事があります。
ビタミンB₂
脂質の代謝に強く関わります。ビタミンB₂の適度な摂取により、脂質から上手くエネルギーが作り出せるので、元気な身体づくりに役立ちます。不足すると肌荒れや口内炎などを引き起こしてしまう事があります。
ビタミンC
抗酸化作用があり、がんや動脈硬化、老化の予防などに役立ちます。コラーゲンの生成にも強く関わり、美肌作りには欠かせません。また、風邪などの感染症予防にも役立つビタミンです。
ビタミンE
強力な抗酸化作用があり、「老化抑制ビタミン」の別名を持ちます。血液の循環を良くし、冷え性や肩こりなどの改善にも貢献する事があります。
その他、性ホルモンの生成にも強く関わるので、生殖機能の維持にも役立ちます。
カルシウム
ご存じの方も多いと思われますが、骨や歯の材料になります。体内に最も多く存在するミネラルです。心臓の機能調節、筋肉の収縮と弛緩、ホルモン分泌にも欠かせません。
その他
香り成分の「ペリルアルデヒド」には、強い殺菌力があり、食中毒を防ぐ効果があります。また、赤ジソに含まれる「アントシアニン」には、はっきりとした事はわかっていませんが、抗酸化作用によるがんや老化の予防の可能性が指摘されています。
健康に良い組み合わせ
※ここで紹介する以外にも、健康に良い組み合わせ(食べ合わせ)はあります。
牛乳と組み合わせると
不安・イライラの解消などにつながる事があります。
(貝類の)カキと組み合わせると
貧血予防などに貢献します。
しょうがと組み合わせると
殺菌作用などがあります。なお、しょうがについては以下のリンクを参考にしてくださると嬉しいです(当ブログの別ページに飛びます)。
ぜんまいと組み合わせると
がん予防などにつながる可能性があります。
品種(一部)

エゴマ
シソの変種です。独特な香りがあり、韓国料理で好まれます。
穂ジソ
シソの花穂です。刺身のツマや薬味などに利用されます。
参考文献
・青葉高著 株式会社八坂書房発行「日本の野菜文化史事典(初版)」2013年9月25日 232~236頁
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 227頁
・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える!野菜の教科書」2017年6月2日 126頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 145頁
・名取貴光監修 株式会社高橋書店発行「新・野菜の便利帳 健康編」2021年8月30日 93、166頁
・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典最新版(初版)」2016年5月23日 68、239~264頁