ごぼうとは
ごぼうとは、キク科ゴボウ属に属する野菜(根菜類)です。旬は4~5月、または11~1月頃という事が多いです。日本では「きんぴらごぼう」に用いられる野菜として、あまりにも有名ですね。
簡単な歴史
原産地はユーラシア大陸北部とされています。ヨーロッパ北部、シベリア、中国東北部には、ごぼうの仲間が自生しています。しかし、ごぼうを食用に用いるのは、日本や台湾など、非常に限られた国や地域のみです。オランダやドイツ、フランスでも食用にされる事はあったようですが、現在はあまり食べられないようです。
ごぼうというものを、初めて利用したのは中国の人々とされていますが、その中国では専ら薬用扱いされて、「食べるための植物」という使われ方は、あまりされませんでした。
日本には朝鮮半島経由で中国から伝わったとされています。伝来した時期はまだはっきりとわかっていませんが、縄文時代の貝塚からごぼうの痕跡が見つかっている事から、相当古い時期に伝来したと考えられます。
日本でも最初は薬用扱いされましたが、平安時代辺りから食用としても利用されはじめ、江戸時代には広く庶民にも食べられる野菜となりました。
良品の見分け方
※ここで紹介する特徴を持つごぼうを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
・重くてかたいもの
・切り口が白いもの(緑色のものは劣化しています)
・表面がデコボコしていないもの
・ひげ根が少ないもの。ひげ根があっても、生えている間隔が均一なもの
・太すぎないもの(太すぎるものは「す」が入ってしまっている場合があります。「す」とは、中身に穴や隙間が出来て、スカスカになってしまっている状態を指します)
保存方法

常温の場合
泥つきのものは洗わないで新聞紙に包み、冷暗所に立てて保存します。
冷蔵の場合
泥つきのものは新聞紙に包んで野菜室に保存します。ただ、先ほども紹介したように、冷暗所に保存する方法もあります。寒い時期は前述の方法で常温保存した方が、美味しさが長持ちする事もあります。
洗ったものはラップで包んで保存。または、湿らせたペーパータオルに包み、ポリ袋に入れて冷蔵室に保存します。いずれの方法を採った場合でも、なるべく早く使い切る事をおすすめします。
冷凍の場合
まずはしっかりと洗います。そして好みの大きさに切ります(ささがきがおすすめです)。軽く茹でたら粗熱と水気をしっかり取り、冷凍用保存袋に入れて、冷凍室に保存します。これで約1か月保存出来る事もあります。
栄養素
ごぼうの長所は何といっても食物繊維の多さです。可食部100g中5.7gが食物繊維で、これはレタスの3倍以上の数値です。しかも、他の多くの野菜と違い、ごぼうは水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方を良く含みます。
また、食物繊維以外にも、少量ではありますが、葉酸、カリウム、カルシウム、マグネシウムも含むので、以下ではそれらについて解説します。
食物繊維
水溶性食物繊維であるイヌリンと、不溶性食物繊維であるリグニンを含みます。イヌリンはコレステロール値を下げ、さらに血糖値を上げにくくして糖尿病などの予防に役立ちます。また、リグニンは便通を良くする他、大腸がんなどを防ぐのに役立つ事があります。
ちなみに食物繊維は、厳密には栄養素ではありませんが、前述のような重要な役割を果たすので、適度に摂取すると良いです。
葉酸
赤血球を作るのに役立ちます。また、細胞分裂を助けるので、妊娠中の方や成長期のお子さんには欠かせません。さらに、認知症予防に役立つ事もあります。
カリウム
体内の余計なナトリウムを排出し、むくみの改善や、高血圧、脳卒中の予防などに役立ちます。また、カリウムは筋肉の収縮や正常な神経の情報伝達にも関わるので、不足すると不整脈やけいれんを引き起こしてしまう事があります。
カルシウム
体内に最も多く存在するミネラルです。骨や歯の材料になるだけでなく、身体の生理機能に関わり、心臓の鼓動の維持、筋肉や神経の活動、ホルモンの分泌、細胞の分裂にも必要です。
マグネシウム
丈夫な歯や骨を作るのに必要です。エネルギーを生み出したり、血液の循環を保つ働きもあります。
健康に役立つ組み合わせ

※ここで紹介する以外にも、健康に役立つ組み合わせ(食べ合わせ)はあります。
わかめと組み合わせると
高血圧や動脈硬化予防などに役立つ事があります。
切り干し大根と組み合わせると
健胃効果などがあります。
ひじきと組み合わせると
血中コレステロール値低下などにつながる事があります。
玄米と組み合わせると
糖尿病予防などに役立つ事があります。
品種(一部)
大浦ごぼう
千葉県匝瑳(そうさ)市大浦地区の特産品です。肉詰め料理が有名です。
サルシフィ
西洋ごぼうといわれるキク科の野菜です(厳密にはごぼうと少し違う植物です)。フランスではスープやグラタンの具材として使われます。
参考文献
・相馬暁著 株式会社三一書房発行「新装版 野菜学入門(初版)」2006年3月10日 204~211頁
・青髪のテツ著、わたなべみきこイラスト 株式会社KADOKAWA発行「スーパーのエキスパート店員が教える おいしい野菜まるみえ図鑑(初版)」2023年2月10日 54~55頁
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 206頁
・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える!野菜の教科書」2017年6月2日 59頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 62頁
・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典最新版(初版)」2016年5月23日 20、255頁
・足立香代子監修、kirishima・サイドランチマンガ 株式会社池田書店発行「マンガでわかる栄養学」2021年12月20日 98~101、108,112、115~117頁