以前執筆した記事(わざと失敗してみた料理)
前置き
以前私が執筆して、別の記事に書いたものを、この記事に移植しました。
この記事(移植した記事)を執筆した頃は、まだ上手く記事を書けずに苦労しましたが、その当時に頑張った事を記念に残しておきたくて、敢えて、ほとんど手直しせずに、この記事に残す事にしました。
執筆に苦労はしたものの、今(2024年10月下旬頃)読み返してみても、自分自身が、ちゃんと頑張っていたのだなという気持ちになる事が出来る内容だったので、読者のみなさまにも読んでいただけると嬉しいです。
ニラについての簡単な説明
卵とじや、レバニラ炒めなどの料理に花を添えてくれるニラ。もちろん、そのまま油いためにしても美味しいです。
東アジアが原産とされていて、ビタミンやミネラルが豊富な緑黄色野菜です。
ニラは、収穫された順番により一番~九番と規格がつけられますが、最も美味しいのは初めに収穫された「一番ニラ」です。
店頭での、一番ニラの絶対的な見分け方はありませんが、茎の一番太い部分が1cm以上だと、一番ニラの可能性が高くなるのでぜひ覚えておいてください。
当ブログでは、ニラについてさらに説明を加えた記事があるので、よろしければ以下のリンクを参考にしてください。
そのまま炒めてみました!
さて、その様な特徴を持つニラを、先日食すことができる機会があったのですが、その時のいただき方が、シンプルに油で炒めたものを食べるというものでした。ちなみに、筆者がコンビニエンスストアで購入したものを、自ら炒めました。
普段、料理をする機会が少ない分、もう少し手の込んだ料理に挑戦しても良かったのですが、この時は料理を楽しむという気持ちよりも、手早く栄養素を補給したい、そして、単純に、炒めたニラがあながち嫌いではないことから、単純な油炒めすることにしたのです。
ここで野菜料理についての知識を一つ。緑黄色野菜には、豊富にβ‐カロテンが含まれていることが多いですが、β‐カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変わります。
そしてこのビタミンAは、油と一緒に摂ると、吸収の効率がグッと高まるのです。
ちなみにビタミンAは、目の健康を維持することや、皮膚や粘膜の健康の維持に役立ちます。
現代社会では敬遠されがちな油ですが、油とは逆にヘルシーなイメージのある野菜と一緒に摂取すると、思わぬ効果を生むことがあります。
もちろん、油の摂りすぎ自体はいけませんが、こんなプラスの効果もあることを、覚えておくと役に立つかもしれません。
ちなみに当ブログでビタミンAについて詳しく説明しているので、よろしければ以下のリンクを参考にしてください。
ものは試し
さて、そのような豆知識を頭に入れたところで、今回の記事の核心へと参ります。
ニラを包丁でカットし、中華鍋を火にかけ油をひき、根元部分を先に炒めてから先端を炒めて・・・となるところですが、ここでわざと失敗してみることにしました。
何をわざと失敗してみたのかというと、根元部分のニラと先端部分のニラを、同時に中華鍋の中に投入してみたのです。
筆者の料理知識や経験が浅く、ニラに限らず、野菜の部位による火の通り方の違いを目の当たりにした経験が少ないため、この際自分の目で確かめてみることにしたのです。
火にかけて少し経つと・・・、根元と先端で、明らかに見た目の違いがわかります。根元はまだ硬そうだけど、先端はしんなり。まだ根元の方は火が通ってない感がありましたが、「何か起きたら自分で責任を取る」覚悟で、敢えてここで火を止め、食してみることにしました。
その味は
中華鍋からさい箸でニラを皿に盛り、普通の箸でつまんで食しましたが・・・、見た目の通り、根元は火が通り切っておらず、辛みがありました。この辛みは恐らく、アジョエンに変わり切っていないアリシン(硫化アリル)によるものと思われます。
今まで、ニラを食べて辛みを感じたことがなかったので、これは良い勉強になりました。ただ、恐らく僕のようなマネはしない方が賢明です。ちなみに、先端部分は普通に火が通っていて、美味しかったです。
また一つ、一人前の野菜ライターになるための経験を積むことができた一日でした。
良品の見分け方(ここから大幅に加筆修正しています)
以下の特徴を持ったニラを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
・葉の緑色が濃い物
・根を持った時に、弱々しく曲がったりしないもの
・根の切り口がみずみずしいもの
・葉の一番幅広な部分が広いもの
※葉の一番幅広な部分が1cm以上あるものは、美味しいニラである可能性が、さらに高まります。ちなみに、1円玉の直径が2cmなので、一番幅広な部分が1円玉の半分以上に重なるものが、美味しさの基準の一つを満たす事になります。
保存方法
冷蔵の場合
※ニラの冷蔵の仕方は、普段から青果について学ばれている諸先輩によって、その方法が分かれています。ここに、その内私が知る事が出来た方法を列挙しておきます。
食用可能な保存期間は、どの方法を採るかによって多少前後すると考えられますが、上手く保存出来ると、最大で、2週間ほどもつ事があります。
その1
湿らせたペーパータオルで根元を包み、保存袋に入れ、冷蔵室に立てて保存する。
その2
ペーパータオルで包み、保存袋に入れ、冷蔵室に立てて保存する。
その3
キッチンペーパー(ペーパータオル)とラップで包み、冷蔵庫で立てて保存する。
いずれの方法も、カットしたペットボトルや牛乳パックを使うと、ニラを立てて保存しやすくなります(カット時や切り口でケガをしないように注意して下さい)。
冷凍の場合
よく洗って、水気をしっかりと拭き取り、好みの大きさにカットします。冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存します。
栄養
ニラは、緑黄色野菜の一つに数えられる、栄養価が高い野菜です。特に、β-カロテン、ビタミンB₂、ビタミンC、カリウム、カルシウムを良く含みます。ここからそれらの栄養素について解説していきます。
β-カロテン
体内で、必要に応じてビタミンAに変換されます。ニラなど、野菜から得られるビタミンAには抗酸化作用があり、がん予防や動脈硬化予防などに、力を発揮します。
また、夜間の視力の維持や、皮膚・粘膜の健康維持にも強く関わります。風邪などの感染症予防にも有効です。
ビタミンB₂
「発育のビタミン」とも呼ばれます。三大栄養素(糖質・タンパク質・脂質)の代謝を助けます。特に、脂質の代謝には強く関わり、脳や身体を動かすエネルギーを生産するのに欠かせません。
不足してしまうと、肌荒れや口内炎などを引き起こす可能性があります。
ビタミンC
強い抗酸化力をもち、身体を酸化の悪影響から守る作用があります。これは、動脈硬化や心筋梗塞などになる可能性を減らしてくれる事を意味します。
また、皮膚のシミのもとになるメラニンの生成を抑える働きもあり、美肌作りにも有効です。
ビタミンCは水溶性、かつ、熱や光にも弱いので、ニラに限らず、新鮮な野菜や果物を食べた方が、上手く摂取出来る可能性が高まります。
カリウム
ナトリウムとともに、体内の細胞の浸透圧を調整する働きがあります。
ナトリウム(塩分)が増加すると、高血圧になりやすくなり、脳卒中などを引き起こす可能性が高まります。
カリウムを上手く摂る事で、それらを引き起こす可能性を下げてくれます。
またカリウムは、筋肉の収縮や神経伝達の機能を正常に保つのにも関わり、不整脈やけいれんを起こしにくくするためにも重要なミネラルです。
カルシウム
骨の材料としておなじみのミネラルです。人間の体内に、最も多く存在するミネラルでもあります。身体の生理機能の維持、心臓の鼓動の正常な動きなどにも欠かせません。
その他
ニラの強い香りのもとであるアリシンには、まだ、十分な科学的根拠は示されていないものの、ビタミンB₁と結びついて、疲労回復に役立つ可能性が指摘されています。
健康に良い組み合わせ
※ここで紹介する以外にも、健康に良い組み合わせ(食べ合わせ)があります。
やまのいもと組み合わせると
胃腸の働き、そして腎機能の強化につながります。
チンゲン菜と組み合わせると
がん予防、糖尿病予防につながる可能性があります。
レバーと組み合わせると
精力増強、健脳効果があります。
ごまと組み合わせると
老化防止や認知症予防などに役立つ可能性があります。
品種(一部)
黄ニラ
日光を当てずに軟白栽培したものです。見た目が美しい上に、やわらかくて甘みがあります。「ニラもやし」の別名があります。
花ニラ
花茎とつぼみを食用にします。香りがマイルドで甘みがあります。
コラム―たとえ体調が良くても食べたい
白鳥早奈英先生と板木利隆先生が監修を務めた、株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 109頁に『風邪をひいたら』の項目があります。
そこには『きざんだにらとしょう油を器に入れ、熱湯を注いで熱いうちに飲み干し、すぐに寝ると風邪のひき始めに効く。』(『』内同書、同頁より引用)とあります。
これは確かに、軽い風邪くらいなら簡単に吹き飛んでいきそうな(治りそうな)、健康的に感じる事が出来るニラの食べ方だと思いましたが、たとえ体調が良くても、白米のおかずなどにすると食が進みそうな、とても美味しそうなニラの食べ方かもと、個人的に思いました。
特に、ニラや玉ねぎなどの、ユリ科の野菜の辛さがお好きな方には、簡単に作れる上に美味しいという、贅沢な一品になるかもしれませんね。
引用・参考文献
本文中に掲げたものの他に
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 109頁
・板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい 野菜の便利帳」2021年11月15日 115頁
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 220頁
・相馬暁著 株式会社三一書房発行「新装版 野菜学入門(初版)」2006年3月10日 53~55頁
・青葉高著 株式会社八坂書房発行「日本の野菜文化史事典(初版)」2013年9月25日 308~310頁
・足立香代子監修、kirishima・サイドランチマンガ 株式会社池田書店発行「マンガでわかる栄養学」2021年12月20日 94~103、108、112頁