「アボカド」とは
アボカドとは、クスノキ科ワニナシ属に属する果物です。
原産地はメキシコ南部から中央アメリカとされ、メキシコ料理などには欠かせない果物です(グワカモレ(アボカドのディップ)などに使われます)。
食用にされるだけではなく、シャンプーや化粧品などにも使われます。例えばブラジルでは、生産されたアボカドの30%ほどがオイル抽出に使われ、その内三分の二は石けんに、三分の一は化粧品に加工されます。
熱帯の作物のイメージもあるアボカドですが、近年、静岡、和歌山、愛媛、鹿児島、沖縄などでも、栽培がされるようになっています。
良品の見分け方
※ここに挙げた特徴を持つアボカドを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
※皮がまだ緑色のものは、追熟(後述)させた方が美味しく食べられる可能性が高くなります。
・ヘタがついていて、少し浮いているもの
・皮があずき色でハリ・ツヤがあるもの
・お尻に適度な弾力があるもの
保存方法
常温保存の場合
アボカドは、店頭に並んでいる時点では、熟度が足りない事が多く、その状態で食べてもあまり美味しくない事が多いです。
アボカドは、クライマクテリック型(追熟型)果実ともいわれ―他にはキウイフルーツもこれにあたります―家庭で追熟させた方が美味しい事が多いです。
様々な環境要因が絡むので、ここに紹介する追熟方法が必ずしも正解とは限りませんが、15~20℃くらいの常温に、10~14日ほど置いておくと、追熟が上手くいく事が多いです。
なお、直射日光に当てると、追熟をさらに早める事が出来ます(その際は追熟のさせすぎに注意して下さい)。
冷蔵の場合
熟したものは、保存袋に入れて、冷蔵庫の野菜室に保存します。2~3日で使い切りましょう。
冷凍の場合
丸のままでは、4.2℃以下にすると低温障害を起こして品質が悪くなるアボカドですが、ひと手間かける事で、約1か月冷凍保存が出来ます。
種と皮を取り除き、好みの大きさにカットして下さい。その後、変色防止のためにレモン汁をかけ、ラップで包み、冷凍用保存袋に入れて、冷凍庫で保存します。
解凍は自然解凍をおすすめします。
栄養
アボカドは大変栄養価の高い果物です。良質な脂質の摂取源であるだけでなく、ビタミンB₁、B₂、E、カリウム、食物繊維などの摂取源にもなります。
ここではそれらの栄養素について、解説していきます。
脂質
アボカドに含まれる脂質の多くは、オレイン酸やリノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸です。
もちろん、脂質である以上、摂り過ぎによるカロリー過多などには気をつける必要がありますが、適度な摂取は、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やすのに役立ちます。そのため、動脈硬化や脳梗塞の予防につながる事があります。
ビタミンB₁
糖質の代謝に重要な働きをするビタミンです。適度に摂取する事で、疲労やストレスの解消につながります。
ビタミンB₂
脂質の代謝に重要な働きをするビタミンです。不足すると、口内炎や肌荒れを引き起こす事があります。
ビタミンE
野菜や果物で、これを一定量含んでいるものは、かなり貴重な存在です(他にはかぼちゃや赤ピーマンなどがあります)。
「若返りのビタミン」とも呼ばれ、活性酸素や過酸化脂質の悪影響から身体を守ってくれます。
また、毛細血管を広げて血流を整える力もあり、頭痛、肩こり、冷え性などの改善を助ける事もあります。
カリウム
体内の余計なナトリウム(塩分)を、体外に排出してくれる効果があります。この事から、高血圧や、そこから来る脳卒中などを防いでくれる事があります。
食物繊維
アボカドは、水溶性食物繊維も不溶性食物繊維もどちらも含む事から、整腸作用、高血圧や脳梗塞を防ぐ作用もあります。
健康に良い組み合わせ
※ここで紹介する以外にも、健康に良い組み合わせ(食べ合わせ)はあります。
りんごと組み合わせると
血中コレステロール値低下につながる事があります。
アスパラガスと組み合わせると
料理の紹介―アボカドとマグロのイタリア風ユッケ
前置き
「材料」「作り方」ともに、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい 野菜の便利帳」2021年11月15日 190頁より引用しています。引用元著書の制作、販売などに関わった方々に、感謝申し上げます。
材料
アボカド…1個
マグロの刺身…適量
たまねぎ…1/2個
卵黄…1個分
A(オリーブ油、ビネガー、塩、こしょう…適量 しょう油、わさび…少々 コリアンダー…少々)
作り方
1.アボカドとマグロの刺身は1cmの角切りに、たまねぎはみじん切りにする。
2.Aを合わせてドレッシングを作り、卵黄以外の材料を和える。
3.器に盛り、真ん中に卵黄をのせる。
感想
アボカド、マグロ、卵黄の、濃厚なハーモニーを私も味わってみたいです。
ドレッシングも、アボカドたちの味を引き立ててくれそうだと思いました。
ぜひ実際に作ってみたいです。
コラム―筆者とアボカドの出会い
正確な年齢を思い出せませんが、私が初めてアボカドを食べたのは、10歳を過ぎてからと、かなり成長した後でした。
果実の鮮やかな黄緑色から、私は「甘みがするはず」と思って口にしたのですが、甘みがしなかった事による認知的不協和を起こし、私はアボカドにあまり良い印象を持つ事が出来ませんでした。
しかし何故か、その後アボカドの美味しさがわかるようになり、今では好物の一つになっています。
年齢を重ねた事が、自分自身の味覚に変化をもたらしたのかもしれませんね。
引用・参考文献
本文中に掲げたものの他
・社団法人 農山漁村文化協会編・同発行「地域食材大百科 第3巻 果実・木の実,ハーブ」2010年8月25日 13~19頁
・板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい 野菜の便利帳」2021年11月15日 176頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 190頁
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 41、78~83、229頁
・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える! 野菜の教科書」2017年6月2日 156頁
・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬 おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典 最新版(初版)」2016年5月23日 195、242~243、271頁
・足立香代子監修、kirishima・サイドランチマンガ「マンガでわかる栄養学」2021年12月20日 84~95、98~101、104~105、112頁