エノキタケとは
エノキタケとは、キシメジ科エノキタケ属に属するきのこです。原産地は、温帯~寒帯のどこかの地域であるとされています。
日本では古くから、天然のエノキタケを採集していました。お吸い物をはじめとした料理に使用され、江戸時代には「ナメススキ」の名で贈答品に使われていたという記録があります。
明治時代から昭和初期には、カキの原木を使った「ほだ木栽培」が行われていましたが、1928年に京都の森本彦三郎がおがくずを使った栽培法を開発し、ガラスびんで栽培する事がメインになりました。
みそ汁の具、炒め物、肉や魚料理のつけ合わせなど、幅広い楽しみ方が出来るきのこです。
良品の選び方
※ここに挙げた特徴を持つエノキタケを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
※水っぽいもの、透明になって来ているものは、避けた方が良いです。
・全体的に真っ白なもの
・カサがキュッと閉じているもの
・背丈が揃っていて、軸にピンとハリがあるもの
・真空パックの商品の場合、真空が漏れていないもの
保存方法

冷蔵の場合
※私の手元にある参考文献によると、文献を書かれた先生によって、保存方法がかなり異なっています。あくまで私見ですが、以下のどちらの方法を採っても、1週間程度は保存が利くと思われます。
方法1
石づきを取り除き、ペーパータオルで包む。ポリ袋に入れて、冷蔵庫の冷蔵室で保存。
方法2
真空パックのまま保存する。あるいは、袋から出し、根元を切らずに保存袋に入れて、冷蔵庫の冷蔵室に保存する。
冷凍の場合
石づきを取り除き、ほぐしてバラバラにして冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存する。この方法で、約1か月保存出来る事もあります。料理に使う時は解凍せずに、そのまま加熱して使いましょう。
栄養素
エノキタケは、以下に挙げる栄養素の摂取源になり得ます。以下でそれぞれ解説します。
ビタミンB₁
糖質の代謝に強く関わるビタミンです。適度な摂取により、イライラの軽減や疲労回復などにつながる事があります。
ビタミンB₂
脂質の代謝に強く関わるビタミンです。不足すると、肌荒れや口内炎などを引き起こしてしまう事があります。
ナイアシン
血行を良くする効果があります。飲酒時に体内で生成されてしまう有害物質「アセトアルデヒド」を分解する働きがあるので、エノキタケを食べると二日酔いを防げる事があります。
パントテン酸
たんぱく質、糖質、脂質の三大栄養素の代謝を助けてくれる働きがあるので、パントテン酸の適度な摂取は、心や身体を元気にしてくれる事があります。
カリウム
体内の細胞の浸透圧を調節する効果があります。体内の余計なナトリウムを体外に排出してくれるので、高血圧や脳卒中の予防に役立ちます。
またカリウムは、筋肉の収縮や正常な神経の情報伝達にも関わるので、不足すると不整脈やけいれんを引き起こしてしまう事があります。
その他
エノキタケには不溶性食物繊維が多く含まれているので、適度な摂取は大腸がんや便秘を予防してくれる事があります。
健康効果

※エノキタケを適度に摂取すると、以下に挙げる健康効果を得られる可能性があります。
・疲労回復
・肥満の予防
・便秘の予防・改善
・高血圧の予防・改善
うどのなめ茸のせ―齋藤瞬のチャレンジクッキング
前置き
「エノキタケを使った料理は、実は数が多いよな」、私の率直な意見です。みそ汁の具材にもなりますし、バターで炒めても良いですし、肉や魚のつけ合わせにもなる・・・。だからこそ、何を作ってみるかを意外と悩みました。
そこで私が目をつけたのが、「なめ茸」そして山菜の「うど」でした。エノキタケにしょう油ベースで味をつけたなめ茸、そこに春を感じさせるうどの組み合わせ、私は何だかおしゃれに感じました。
2025年5月上旬、北海道といえど、春はかなり進んでいましたが、そのような時期にうどを手に入れる事に成功した私は、自宅の冷蔵庫に保管してあったなめ茸と組み合わせて、今回の一品を作りました。
材料(1人前)
・なめ茸・・・スプーン1杯程度
・うど・・・2分の1本(山うどよりも、軟白栽培品の方が、美味しく食べられると思われます)
※ここに、うどを茹でる(アク抜きする)ための水と、少量の塩を用意します。
工程
うどを食べやすい大きさに切る
私は斜めにスライスしました。
鍋に水を入れ、沸かして塩を入れる
やけどなどに注意して下さい。
水が沸いたら、うどを茹でる
2分程度で十分でしょう
うどを茹でたら、水にとって冷ます
ここも湯をこぼすなどでのやけどに注意です。また、うどを長い時間水にさらしすぎると風味が落ちてしまいます。
うどが冷めたら、皿にのせて、その上になめ茸をのせて、完成です!
おしゃれな見た目になっているはずです。味も見てみましょう。
試食と感想

私が今回使用した軟白うどは、恐らく収穫直前に日光に当てたものと思われ、鮮やかな黄緑色をしていました。
そのせいか、軟白うどの黄緑となめ茸の茶色が大変良い見栄えを作り出してくれて、食べる前に目で楽しめました。
肝心の味も、うどのほろ苦さをなめ茸が優しく包んでくれている感じがあり、大変食べやすく食べる事が出来ました。
春の楽しみがまた一つ増えた感じになり、良い気分で食事を終える事が出来ました。
参考文献
・一般社団法人 農山漁村文化協会編・発行「地域食材大百科 第4巻 乳・肉・卵,昆虫,山菜・野草,きのこ」2010年11月20日 339~343頁
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 224頁
・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える!野菜の教科書」2017年6月2日 103頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 86頁
・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典最新版(初版)」2016年5月23日 118、239~264頁