前置き
イタドリとは
イタドリとは、タデ科に属する植物です。折り採るとポコンと音がし、味は酸っぱいので、「スカンポ」という名で呼ぶ地域もあります。
繁殖力が強く、厄介な雑草扱いされる事も多い一方で、美味しい野草として扱われる事もある、置かれている立場や環境によって、印象が大きく変わる植物です。
目立った栄養素が含まれていないのにも関わらず、抗菌、利尿、疲労回復など、様々な健康効果が期待されています。
注意―イタドリの毒性
イタドリには、少量食べただけで重大な健康被害や命にかかわる事態を招くような毒性はありません。
しかし、多量のシュウ酸が含まれている事から、腎機能に問題がある方やリウマチに悩む方などには悪影響を及ぼす可能性があります。そのような疾患を抱えている方は、イタドリを食べない方が良いといえます。
また、現在のところ大きな疾患を抱えていない方であっても、イタドリを食べ過ぎるとシュウ酸の影響でミネラル不足に陥る事があります。どれくらいの量からが食べ過ぎだと、正確な定義づけは今のところなされていませんが、イタドリを食べる時は「軽く楽しむ」くらいの気持ちで、少量を味わって食べる感覚で食べるのが賢明といえます。
試食にチャレンジ!

採集まで
前置き
イタドリといえば、私が知っている限り、限りなく「野草」扱いされる植物(食材)で、正直私の守備範囲外の存在でした。
「齋藤瞬、お前は山菜や野草も扱う人間ではないのか?」という突っ込みをしたくなる読者の方もいらっしゃると思いますが、私が扱おうと考えていた山菜や野草は、セリのように事実上野菜としても扱われるほど、栽培もされているものや、わらびのように山菜や野草のなかでもメジャーな扱いをされるものを意識していました。ちなみに、セリとわらびについての記事は、以下のリンクを参考にしてくださると嬉しいです(当ブログの別ページに飛びます)。
とはいったものの、私がこのブログを始めて半年も経たない2023年7月、私は何の気なしに、自宅周辺に生えていた「オオバコ」を採集し、試食、おまけに記事まで書いてしまいました(それが以下のリンクです(当ブログの別ページに飛びます))。
当初は読者のみなさまにも、それほど気にされていなかった記事でしたが、2025年春、突如として、当ブログで読まれている記事ナンバーワンに躍り出ます。正直私はこの結果に目を疑いました。
さらに、オオバコがナンバーワンに躍り出た直後の2~5位の記事には、「うど」「ぎんなん」といったややマニアックな食材について扱った記事が並んでいました。「ぶなしめじ」がまとも過ぎて、逆に浮いている感さえありました。この時私は何となくですが、「読者の方々が、齋藤瞬という人間に何を求めているのか」がわかった気がしました。
ここで私の探求心に火がつきます。「メジャー扱いされる事が多い食材だけでなく、少しマニアックな食材についても扱ってみよう」と。ある意味では、そして、本当の意味で、「齋藤瞬という人間にしか書けないブログを書いてみよう」と、しっかり決意出来た出来事でした。
下調べ
イタドリに限らず、野草を採集する際に注意しなくてはならないのは、「採集する場所」です。アバウトな言い方になってしまいますが、他人に所有権がある土地で、無断で野草などを採集すると、窃盗罪などに問われてしまう可能性があります。
実は、私の家の隣にある空き地に、春になるとたくさんのイタドリが自生する場所があるのですが、そこは残念ながら所有者がいます。という事で、そこでの採集は諦めました。
となると河川敷などが、採集の場所として適していますが、そこについても、採集が法律違反とならないか、私はネット検索でしっかりと調べました。調べたところ問題ないようなので、私は私が住んでいる北海道恵庭市にある「茂漁川(もいざりがわ)」の河川敷で、イタドリの採集を試みる事にしました。
採集
真面目に「○月○日○時に採集する」という事は特に決めず、ある天気の良い春の日に、私は茂漁川の近くに来たので、軽い気持ちで採集しました。
・・・・・・とはいったものの、イタドリは野草の中では大変見分けがしやすい部類ではあるものの、「実はイタドリによく似た毒草があるのでは?」という不安が私を襲います。
一応、スマホの「グーグル大先生(=画像検索機能)」に、イタドリらしき植物を判定してもらったところ、どうやら私が採集しようとしている植物は、イタドリで間違いないとの事。鎌なども持っていなかったので、強引なやり方ではありましたが、イタドリを握って引っこ抜きました。本来であれば鎌などで優しく採集すべきなのでしょうが、そこはお許しくださるとありがたいです。
あくまで今回は試食目的だった事と、資源保護のため、一本(一つ)だけの採集に留め、自宅に帰りました。
採集後



撮影
無事にイタドリの採集に成功しました。ただ、イタドリ採集後、私はイタドリを手に持ちながら歩いて自宅に帰ったので、私とすれ違った歩行者の方々は、私の事を少し不思議そうな目で見ていました。まあ、それは仕方の無い事です。
気を取り直して自宅の台所で採ったイタドリの撮影を始めます。撮影の最中に思った事なのですが、イタドリって意外と力強さを感じさせる野草だなと。オカルト的な発言になってしまいますが、何かパワーを持っている気さえしました(この記事の最初の方でもお話しましたが、イタドリは目立った栄養素をほとんど含んでいないのにもかかわらず、様々な健康効果が期待されているそうです)。
撮影が終わり、下処理を始めます。
下処理
下処理は、以下の手順で行えば、問題無い事が多いです。
1.洗って根と葉を落とし、茎だけにする
2.茎の皮をむく
3.鍋にお湯を沸かし、塩を少量入れ、数分程度煮る
4.火が通ったらザルにあげる
5.しっかりアクを抜きたい、酸味を減らしたいのなら、さらに水につける
齋藤瞬が実際にやってみて

工程自体は、初めて実践してみた割には順調に進める事が出来ました。
しかし私は、あるミスをします。皮をむき忘れたのです。
「早く試食してみたい」、「良い意味で下処理を簡略化したい」という気持ちから、私は皮をむかずに、先に小口切りをしてしまいました。
このミス、後でどこまでひびくのか、少し心配になりました。しかし、気にしていても仕方がないので、私は冷ましたイタドリを試食してみる事にしました。
試食と感想

皮をむき忘れたとはいうものの、見た目はなかなか良い色をしていました。いかにも野草とか山菜―それも食用可能そうな―という色合いです。
小口切りしたイタドリを口にして噛んでみると、やはり噛みにくいものの、意外と優しい味がしました。事前にイタドリについてリサーチして頭に入れていた知識通り、酸味もします。一部の地域で未だにごちそう扱いされるのもうなずける味でした。皮をむき忘れなければもっと美味しかったと、容易に想像がつきました。
大変実りある、採集と試食になりました!
参考文献
書籍
・青葉高著 株式会社八坂書房発行「日本の野菜文化史事典(初版)」2013年9月25日 428~430頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 83頁