更新情報
【この記事は2023年2月12日に初投稿されました】
【この記事は2023年5月26日に更新されました】
ナラタケとは
概要
ナラタケは、ハラタケ目タマバリタケ果ナラタケ属のキノコです。かつてはキシメジ科に分類されていましたが、きのこをはじめとする菌類自体の研究が進み、ナラタケも例にもれず研究が進んだ結果、今まで「ナラタケ」と一つに扱われていたものも、実は違いがあるきのことわかり、それがさらに分類されなおして今は「タマバリタケ科」に属することになりました。※参考URLを紹介します。参考URL先で「ナラタケ」の項に飛んでください。札幌近郊のきのこ (s-kinokonokai.sakura.ne.jp)
晩夏から秋にかけて、切り株や倒木に発生するきのこで、日本の多くの地域で見かけられることから、地方によってボリボリ(ツチスギタケをこう呼ぶこともあります)、オリミキ、ボリメキ、ナラモタシ、ヨシタケ、ツバモタシ、カックリモタン、ヤジキノコ、ナラブサなど、様々な呼ばれ方をします。
食用とされることが多いキノコですが、近年の研究で、毒を持っていることがわかりました。しかし、下処理をして食用としたり、すでに下処理がされたものが市販されることがあるなど、美味とされ、今でも好む方が少なくありません(下処理をして毒成分を軽減させたものでも、食べすぎにはなお注意を要します。この記事の下部の方に毒抜きの仕方を紹介します)。
ナラタケは迷惑なきのこなのか
ナラタケの特徴として、広葉樹も針葉樹も選ばず、木の切り株だろうと朽木だろうと埋木だろうと生木だろうと構わず、寄生して朽ちさせてしまうというものがあります。これは当然、寄生された木にとっても、林業を生業とする人々にとっても、大変迷惑なものです。
しかし、オニノヤガラという植物が、ナラタケの菌糸を取り込んで養分にしています。そしてこのオニノヤガラは、アイヌの方々の貴重な食料となっていました。
それを考えると木→ナラタケ→オニノヤガラ→人と廻り、最後は人間が排出した二酸化炭素を木が取り込んで酸素や炭水化物を作ることから、あらゆる立場の人や生物にとって迷惑であるとは言い切れないかもしれません(しかもナラタケ自体が毒に気を付ければ美味であることから、なおさら迷惑とは言い切れないところです)。
食べてみましょう(食中毒に注意)
下処理の仕方
『きのこの重量の5~10倍くらいの水に入れ、水からゆでるのだ。沸騰して10分くらいしたら水にさらし、ていねいに洗う。この下ごしらえをしたあとに、調理をするのだ。それでも食べ過ぎないように注意する。』(小宮山勝司著 永岡書店発行 「きのこ」 2022年 210頁)
ここまで丁寧に下処理しないと、毒にあたってしまう可能性があるし、下処理をしっかりしたとしても、それでもなお、毒にあたってしまうかもしれない。また、多量に食べるとお腹を壊すかもしれない。でも・・・・・・、僕も何度もナラタケを食していますが(きのこ採りに自ら出向いたことはないので、知り合いからいただいたものや市販されているものを食べました)、一度あの美味を経験すると、また食べたいと思ってしまいます。あの味、あの食感・・・・・・、個人の感想ですが、一級品です。
きのこは『楽しみだけに食べるものである。』(山本正 高畑滋 森田弘彦著 「北海道山菜誌」 1980年 238頁)、これこそがきのこ(そして山菜も)の本来の食し方なのでしょう。下処理(毒抜きやあく抜き)に手間暇をかけ、少量を味わっていただくという基本を、ナラタケは教えてくれている気がします。
大場しゅんのチャレンジクッキング!
筆者が今回挑戦したのは、「ナラタケと大根の味噌汁」です。
材料
・市販の下処理されたナラタケ・・・80グラム
・大根・・・4分の1本
・味噌・・・適量
・(ナラタケからのみではだしが出にくいと判断したので)市販のだし・・・適量
・水・・・適量
実際に作ってみて
筆者は若年時、飲食店で接客や調理補助のアルバイトをしていましたが(そのときに身につけたことを少し語らせていただきました生のまま食べる地域は少数! ~キャベツ~ – 青果店店員と共に野菜・果物などを学ぶ部屋 (shunnayasai.com) )、その時から相当な年月が経過していること、そして普段僕は料理をあまりしないため、少し手間取りながら今回の料理にチャレンジしました。
まず、「鍋に水を入れ、火にかける」ところからはじめました(この時すでにミスをしています)。そして、大根を拍子木切りにしますが・・・、大根を水が沸騰してから鍋に投入してしまいました。これでは大根に火が通り切らないことが多くなります。大根は水からゆでないとと、完成して食したときに気がつかされました(笑)。
そんな凡ミスに気がつかないまま、下処理済みのナラタケを、商品の袋の注意書き通り洗って(何度も言うように、当たるのはごめんですから)、大根と共に鍋に投入しました。
煮立たせてから、味噌とだしを鍋に入れて、よく溶かして完成です。味の方は、うん、これがなかなか美味しい。我ながら満足の出来でした(大根に火が通り切っていませんでしたが、そこは目をつぶりました)。また作ってみたいと思いました。
豆知識
みなさんは、「世界で一番大きな生物は何」と聞かれたら、なんと答えますか?クジラやゾウと答える方が多いかもしれませんが、実はキノコなのです(現在発見されている生物の中で、という但し書きがつきますが)。
それはアメリカのオレゴン州で発見されたのですが、ナラタケの仲間である「オニナラタケ」の菌糸が10平方キロメートルにわたり存在し、その推定重量は600トンにもなったそうです。すごいスケールですね。(参考文献 農文協編 農山漁村文化協会発行 「農家が教える 痛快キノコつくり おいしい15種 ラクに育てて ひと稼ぎ」 2020年 8頁)
引用・参考文献
引用文献
本文中に掲げたもの
参考文献
本文中に掲げた書物、URLのほか
・小宮山勝司著 永岡書店発行 「きのこ」 2022年 210~211頁
・山本正 高畑滋 森田弘彦著 「北海道山菜誌」 1980年 238~239頁