この記事でわかる事
・良いかぼちゃの見分け方
・保存方法
・特筆すべき栄養素と健康効果、食べ合わせ
・品種(一部)
・歴史
・レシピ
簡単な説明―かぼちゃとは
かぼちゃとは、ウリ科カボチャ属に分類される野菜です。いわゆる「日本かぼちゃ」と言われるものは中央アメリカ、「西洋かぼちゃ」と言われるものは、南アメリカが原産地です。
別の記事で詳しく解説する予定ですが、ズッキーニも、きゅうりではなく、かぼちゃの仲間になります。
かぼちゃは、多くの国で秋の象徴とされ、ハロウィンや収穫祭(感謝祭)と結びついています。
シンデレラの物語で、かぼちゃが馬車に変わるシーンに代表されるように、魔法やファンタジーの象徴にもなっているなど、「不思議な魅力がある」とイメージする人もいる野菜です。
日本においては「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひきにくくなる」と言い伝えられているように、栄養価が高く、保存も利く野菜でもあります。
「かぼちゃ」と聞くと、スープやパイなど、何か「温かい」イメージが浮かぶ人もいる、優しい印象も持ち合わせています。
良いかぼちゃの見分け方
丸のままのもの
・皮がかたく濃い緑色をしているもの
・ヘタが乾燥していて周りがくぼんでいるもの
・ずっしり重いもの
これらに気をつけると、良品に出会える可能性が高くなります。
※筆者の体験
私はとある、野菜の無人販売所で、敢えて「皮がオレンジ気味のもの」を購入して、食してみました。
味は、意外と美味しく食べる事が出来ました。
これはあくまで、私個人の考えですが、良いかぼちゃは、皮の色をみるより、「乾燥気味でありながら重いもの」を選ぶと、良品に出会えるかもしれません。
カットかぼちゃの場合
・果肉が濃いオレンジ色
・種がふっくらしているもの
これらの特徴を持ったものを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
保存方法
常温または冷蔵
ひと玉なら常温保存が利きます。環境、状態が良ければ、2か月もつこともあります。
カットされたものは、種とワタを取り除き、ペーパータオルで覆って、ポリ袋に入れて、野菜室で保存しましょう。これで4、5日もつ事もあります。
冷凍
種とワタを取り除き、洗って水分をしっかりと拭き取り、好みの大きさにカット。冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存します。これで約1か月はもつ事が多いです。
特筆すべき栄養素と健康効果、食べ合わせ
β-カロテン
体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。抗酸化作用があり、認知症の予防につながる可能性があります。
また、眼の健康や、皮膚や粘膜の健康を維持するのにも欠かせません。
ビタミンAは油との相性が良く、適量の油と組み合わせる事で、効率よく吸収できます。
かぼちゃの果肉が濃いオレンジ(黄色)なのは、β-カロテンが豊富に含まれているためです。
ビタミンC
抗酸化作用があり、風邪予防に有効です。
また、美肌効果も兼ねそろえていて、周囲の人々に好印象を与えるのに、ひと役買います。
ビタミンCは水溶性のため、かぼちゃのスープにすると、効率良く摂取出来ます。
ビタミンE
野菜でビタミンEを豊富に含むのは、他に赤ピーマンがありますが、他にはなかなか名前が挙がらない、そういう意味ではやはり、かぼちゃの栄養価は優秀ですね。
ビタミンEは、肩こりや更年期障害の症状を改善する可能性を秘めています。また、抗酸化作用も持ち合わせています。
カリウム
体内の余分なナトリウムを、体外に排出してくれる働きがあります。
ナトリウムそのものは、生命を維持するのに欠かせないのですが、現代の日本においては、ナトリウム過多、言い方を換えると、塩分の摂り過ぎに気をつける必要があります。
ナトリウム過多は高血圧などを招いてしまいますが、それを防いでくれるのが、カリウムです。
食物繊維
かぼちゃは、水溶性食物繊維も不溶性食物繊維も豊富に含んでいて、血糖値のコントロールをしやすくし、便秘の改善、大腸がんを予防する可能性もあります。
食べ合わせ
※ここで紹介する以外にも、健康に有効な食べ合わせがあります。
いわしと組み合わせると
肺がん予防につながる事があります。
牡蠣(かき)と組み合わせると
認知症予防、貧血予防、味覚障害予防につながる事があります。
削り節と組み合わせると
スタミナ増強、健脳効果につながる事があります。
あずきと組み合わせると
心臓病予防、動脈硬化予防につながる事があります。
品種
西洋カボチャ
黒皮栗
えびすかぼちゃとも言われます。西洋かぼちゃの代表的な存在です。
果肉はホクホクとしていて、甘みがあります。
日本かぼちゃ
黒皮かぼちゃ
日向かぼちゃとも呼ばれます。日本かぼちゃの代表的存在です。
甘さは控えめで、熟すと皮が赤くなります。
ここで一言
日本かぼちゃは基本的に、西洋かぼちゃに比べて甘みが薄いですが、料理に使っても崩れにくく、天ぷらなどに向いています。
歴史
日本とかぼちゃの関係は、長い人間の歴史で見てみると、比較的最近から始まりました。
いわゆる日本かぼちゃが日本に入ってきたのは、天文10年(1541年)頃と言われています。
西洋かぼちゃは文久3年(1863年)、ペポかぼちゃ(ズッキーニはこれに属します)は明治初年前後になって、初めて日本にやってきました。
そのような、日本人にとってまだ新しいともいえる野菜ですが、相性は良く、日本かぼちゃ渡来後から栽培の歴史も始まりました。
第二次世界大戦終了後の一時期、「戦争による貧困・飢えをしのぐために用いられた野菜」という悪印象からか、人々から嫌がられた時もありましたが、「芳香青皮栗南瓜」などの、味の良い品種が登場すると、かぼちゃの良さが見直され、現在は好む人も多い野菜となりました。
レシピ
※ここで紹介するレシピは、白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 18頁を参考にしています。
今回紹介するのは「かぼちゃサラダ」です。
材料
・かぼちゃ・・・300g
・レーズン・・・30g
・マヨネーズソース
・マヨネーズ・・・大さじ2
・牛乳・・・大さじ1
・砂糖・・・小さじ1
・塩・・・少々
作り方
1.かぼちゃはわたと皮を取ってから、さいの目に切る。耐熱容器に入れ、水少々を入れてラップをかけ、レンジで5分ほど加熱してやわらかくする。
2.レーズンはゆで戻して、やわらかくしておく。
3.ボウルにマヨネーズソースの材料を入れてよくまぜ、粗熱がとれた1と2を加えて和える。
コラム(かぼちゃの種の試食レポート)
かぼちゃの種、食べる事が出来ます。ついでに言うと、わたも食べられます。
果肉から取った種を、炒ると、容易に食べられる状態になります。
私は試しに食べてみました。しかし、味こそ香ばしくて美味なのですが、噛み切れずに口の中に残り、やや食べづらい印象を受けました。
以前、すいかの種も食べてみたのですが、すいかの種は食べやすかったので、それとはやや対照的な結果となりました。(その際の感想を、別記事で紹介しています。リンクよりお読みくださると嬉しいです)
しかし、かぼちゃの種の栄養価自体は良いです。特に、ビタミンEを豊富に含みます。
食べすぎによるカロリー過多と、食べにくさに対策を立てると、良い食材になるかもしれません。
参考文献
本文中に掲げたものの他に
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 18~19頁
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 199頁
・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典 最新版(初版)」2016年5月23日 58頁
・青葉高著 株式会社八坂書房発行「日本の野菜文化史事典(初版)」2013年9月25日 83~93頁
リンク
本文中に掲げたものの他に