ピーマンとは
ピーマンは、ナス科に属する野菜です。旬は6~9月頃の、夏野菜です。その辛さで有名な「とうがらし」と兄弟の野菜でもあります。
ちなみに、とうがらしについての記事も執筆したので、よろしければ以下のリンクよりお読みください。
ピーマンといえばその「苦み」が特徴ですが、この苦みが好きな方と嫌いな方で好みが分かれます。私はあの苦みが好きです。といっても、60年ほど前と比べて、品種改良などでピーマンの苦みが減りつつあります。もしタイムマシンがあったとして、60年前に行ってピーマンを食べたら、果たして今と同じように好き好んで食べられるかは、自信がありません(笑)。
簡単な歴史
ピーマン(とうがらし)の原産地は、中央アメリカから南アメリカの一帯です。ペルーでは、2000年以上前の遺跡から、とうがらしのかけらが見つかっていて、その頃にはすでに栽培もされていました。
とうがらしは、ヨーロッパにはコロンブスが広め、その後ポルトガル人やイギリス人がインドへ伝え、さらには17世紀に中国に、そしてそこから朝鮮半島にも伝わりました。日本には16~17世紀の間に伝わったとされています。
ちなみに、とうがらしがアメリカで品種改良されたものがピーマンです。そのピーマンが日本に伝わったのは、明治になってからと、比較的新しい野菜と言えます。
日本に伝えられた当時は、その苦みからなかなか受け入れられませんでしたが、昭和30年代になると、食生活の洋風化とともに、栄養価の高さが見直されて、今日における大衆野菜の仲間入りをしました。
良品の見分け方
見分け方
※ここに紹介した特徴を持つ商品を選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
・ヘタの切り口が白い、みずみずしい
・色鮮やかで、ハリとツヤがある
・キズやしわ、黒ずみがない
ワンポイントアドバイス
キズやしわ、黒ずみがなく、赤や黄色に変色しかけているピーマンはねらい目です。熟し始めているために赤や黄色に変色しているので、普通のピーマンに比べて苦みは少なめなのに、味は濃いめで美味しい事が多いです。
見切り品コーナーで安価で売られていたら、ぜひ購入して食べてみて下さい。
保存方法
冷蔵の場合
丸のままのピーマンは、ペーパータオルで包みポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存して下さい。水気は大敵です。この方法で2週間ほど保存出来る事があります。
また、カットしたものは水気をよく切り、ポリ袋に入れて、冷蔵庫の冷蔵室で保存して下さい。2~3日で使い切りましょう。
冷凍の場合
①よく洗い、水気をしっかりと切り、ヘタと種を取り除き、好みの大きさにカットします。その後、冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存して下さい。これで1か月ほど保存出来る事があります。
②また、固めに茹でたものを保存しても良いです。茹でた後に粗熱を取り、冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存します。この場合も保存期間は1か月程度が目安ですが、好条件が重なると、生のまま保存するのに比べて、長く保存出来る事もあります。
※①②どちらの場合も、料理に使う時は解凍せずに、そのまま火にかけた方が、美味しく食べられます。
栄養素
ピーマンには、β‐カロテン、ビタミンC、E、カリウムが良く含まれます。ここでは主にそれらについて解説します。
β-カロテン
体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。抗酸化作用があり、がん予防や動脈硬化予防などに役立ちます。
また、皮膚や粘膜の健康維持に必要な他、夜間の視力の維持も助けます。
ビタミンC
抗酸化作用があります。美肌効果があり、美しい皮膚を作るのに役立ちます。また、風邪などの感染症予防にも貢献するビタミンです。
ビタミンE
活性酸素や過酸化脂質の悪影響から身体を守ってくれる、「若返りのビタミン」の別名があるビタミンです。
細胞の新陳代謝を促し、頭痛や肩こり、冷え性の改善につながる事もあります。
カリウム
体内の余計な塩分(ナトリウム)を体外に排出してくれる効果があります。
現代の日本の食生活においては、塩分過多が起こりやすく、カリウムは大変役に立ちます。
塩分過多は高血圧や脳卒中などを招くため、積極的にカリウムを摂る事は、それらの防止に役立つ事があります。
またカリウムは、筋肉の収縮や神経の情報伝達にも関わるミネラルなので、不足すると不整脈やけいれんを招く事があります。
その他
ピーマンには「ピラジン」という成分が含まれています。これは苦み成分ですが、血液をサラサラにして、脳梗塞や動脈硬化を防ぐのに役立ちます。
健康に良い組み合わせ
※ここで紹介する以外にも、健康に良い組み合わせ(食べ合わせ)はあります。
玄米と組み合わせると
糖尿病予防や肥満防止などにつながる事があります。
玉ねぎと組み合わせると
高血圧予防、動脈硬化予防につながる事があります。
しそと組み合わせると
胃腸病予防や血行促進に役立ちます。
小松菜と組み合わせると
品種(一部)
赤ピーマン
緑ピーマンを完熟させたものです。緑ピーマンを収穫可能な状態から約7週間育て続けると、赤く色づきます。
青臭さが少なく、甘みがあります。
ジャンボピーマン
肉厚で大型です。これをパプリカとして扱う事もあります。
クレセント
バナナ型ピーマンが完熟するとこうなります。
甘味があり、見た目もきれいなので、生食するのがおすすめです。
ピーマンの苦みを抜いてみよう!
今回の実験を行ったきっかけ
みなさんは、ピーマン、好きですか?僕は大好きです(笑)。
でも世の中には、正直ピーマンが苦手、いや、はっきり言って嫌いだ!という方も、少なくないと思います。
ピーマンが嫌いという方の理由の一つに、あの「苦さ」を挙げる方もいらっしゃるかと思います。僕はむしろ、あの苦さが好きなのですが。
「ピーマンは栄養価も高く、ピーマンが苦手な方は損をしているかも。でも苦手な食べ物を無理矢理食べるのもツラいよな」
「あの苦みを抜く方法があれば良いのに」
そう思いながら、僕が私淑している青髪のテツさんの著書「マンガでわかる やさいのトリセツ(2023年初版 ムラセセラさんがマンガを担当)」を読んでいたところ・・・、気になる記述を発見しました。
それこそが、「ピーマンの苦味を抜く方法(61頁)」でした。
「これはなかなか面白いなぁ!以前にも青髪のテツさんの教えを参考にして野菜料理をしたことがあるし、今回も実験してみよう」
それが今回の実験を行うきっかけでした。
いざ、実験!
実験の前に、今回用意するもの・・・
ピーマンを好みの量、包丁、まな板、ボウル、水道水、油少々、フライパンまたは中華鍋
用意ができたら、いざ実験スタートです!
1.ピーマンをカットして、種とワタを取る
包丁でピーマンを切ります。種とワタは手で取ってもOKです。
2.繊維を断つように横に切る
縦ではなく横に切ることで、苦味成分を逃がしやすくします。
3.ボウルに水を張って洗う
これを水が濁らなくなるまで繰り返します。ここが少しだけ面倒かもしれません。
また、冬は水が冷たいので、そこも少し大変かもしれません。
ちなみに僕は今回の実験で、水が濁らなくなるまで、7〜8回水洗いを繰り返しました。
4.10分水につける
なるべくしっかりタイムを測りましょう。
試食
さすがにピーマンを生で食べるのは少し抵抗があったので(生でも食べられないわけではないです。むしろ生で食べた方が、ビタミンCの損失が少ないなどの利点もあります。しかし僕は、ピーマンを生で食べることにあまり慣れていないので、このような表現になりました)、油で炒めることにしました。
油で炒めてみると、なんだか苦味抜きをしないで炒めるときより、色が鮮やかに見えました。
味付けは、あえてしないで食べてみることにしました。
炒め終って、ピーマンを皿に盛り、箸でつまんで、まずは匂いを嗅いでみましたが、これは普通のピーマンとなんら変わりありませんでした。
いざ口に入れてみると・・・、あっ、あの苦味がない!匂いはいつものピーマンだから、なんか違和感。
でもだんだん慣れてくると、苦味抜きをしていないピーマンよりもはるかに美味しい!これならピーマンが苦手な方でも美味しく食べられるかも、と思いました。
むしろ、今までピーマンの苦味に隠されていた、真のうまみみたいなものを感じることができました。
実験を終えてみて
今回の実験をしなければ、僕はピーマンの奥深さを知ることができなかったかもしれません。
実験をするきっかけを与えてくださった、青髪のテツさんとムラセセラさんに、この場でお礼を申し上げます。
裏話
今回の実験で、ピーマンを洗った後に、手に少し、ピーマンの匂いが移っていました。
僕は普段、ピーマンを使って料理をしても、ピーマンの匂いが移ることはありません。
それだけ、今回の実験では、ピーマンの苦味成分を抜くことができたのかもしれませんね。
参考文献
本文中に掲げたものの他に
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 58~63、197頁
・板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい 野菜の便利帳」2021年11月15日 32~33頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 16頁
・相馬暁著 株式会社三一書房発行「新装版 野菜学入門(初版)」2006年3月10日 90~93頁
足立香代子監修、kirishima・サイドランチマンガ「マンガでわかる栄養学」2021年12月20日 94~97、102~105、112頁
リンク
本文中に掲げたものの他に