しょうがとは

しょうがとは、ショウガ科ショウガ属に属する香味野菜です。旬は基本的には夏です。香味野菜という事で、一度の食事でたくさんの量を摂るのは難しいですが、がん、そして風邪などの感染症予防にも役立つ、健康へ大きく貢献する可能性がある食材です。
口にした時に、味やにおいに少し刺激がある食材なので、お子さんの中には苦手な方がいる一方で、大人になるといつの間にか楽しめるようになる食材の一つかもしれません。筆者もその一人です。
簡単な歴史
原産地は熱帯アジアとされています。インドからマレー半島のどこかで誕生した可能性が高いとされています。
古くからインド、東南アジア、中国で栽培され、香辛料や薬用として重要視されてきました。地中海地方には1世紀には伝わり、11世紀にはイギリスですでに栽培が始まっていたようです。15世紀になり、スペイン人によりジャマイカなどの西インド諸島にしょうがが伝わると、そこでも広く栽培されるようになりました。
日本への伝来は相当古く、奈良時代にはすでに栽培されていたとされます。「はじかみ」とは、山椒(さんしょう)の古名ですが、当初はしょうがの事を、はじかみと呼んでいました(「くれのはじかみ」「つちはじかみ」という呼ばれ方をしていました)。
甘酢漬け、生魚の矯味(味を整える)、矯臭(臭みを消す)の他、のどの薬や身体を温める目的にも使われるなど、活躍の範囲が大変広い食材です。
良品の選び方
※ここに挙げた特徴を持つしょうがを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
普通のしょうがの場合
・ふっくらとしているもの
・ハリ・ツヤがあるもの
・皮にキズがないもの
・固く締まっているもの
・切り口の水分が蒸発していないもの
新しょうがの場合
・根が白くツヤがあるもの
・茎の部分が鮮やかな紅色をしているもの
保存方法

常温保存の場合
13~15℃の環境を作れるのであれば、常温保存も出来ます。しょうがは乾燥に弱いので、新聞紙やラップに包んで保存しましょう。
冷蔵の場合
よく洗い、水を入れた保存容器に入れて、冷蔵庫の野菜室に保存します。水は毎日取り換えましょう。この方法で、1か月程度保存出来る事もあります。
冷凍の場合
しょうがは低温に弱い食材でありながら、冷凍保存をする事も可能です。
よく洗い、水気をしっかりと拭き取ったら、好みの大きさにカットして(あるいは、すりおろすかみじん切りにする)小分けします。その後、冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存します。この方法で、約2か月保存出来る事もあります。
コラム―神道に仕える方々も思いついたギャグ
私がまだ、青果についての情報発信にチャレンジする前の事でした。しょうがを使った飲み物である「ジンジャーエール」、これを知っている方は決して少なくないと思われますが、私はこの「ジンジャーエール」という言葉の響きが、何となく気になっていました。
その「何となく気になっていた」の正体は、ある日突然解決します。ジンジャーエールのジンジャーは「神社」、エールは「応援」・・・、「神社応援」というギャグが出来るではないか(笑)。
私は早速スマホで「神社応援」とキーワードを入れて検索をかけます。すると、神道に仕える方々が「神社応援」とか「神社声援」などと商品名をつけて、ジンジャーエールを売っているではありませんか。
神道の神様も、恐らく笑顔になっているだろうと思いました。
※参考に、ジンジャーエールを売られている神社の一部について、リンクをはっておきます。

栄養素
しょうがは香味野菜という事で、多くの量を摂取する事が難しい食材です。生の状態では、骨の代謝に役立ち、抗酸化性もあるマンガンを多く含みますが、食べやすくするために酢漬けにすると、かなりのマンガンが流失していまいます。その他の栄養素も、何か特別多く含んでいるわけではありません。
では何故しょうがが健康に大きく貢献するのかというと、答えは辛味成分と香り成分にあります。
辛味の主成分である「ジンゲロール」は、加熱すると「ショウガオール」に変わります。しょうがは生でも加熱後でも、血行を良くし、身体を温めます(発汗作用もあります)。しょうがが風邪や冷え性に有効とされるのは、このためです。また、ショウガオールには、抗菌作用や抗酸化作用があるとされ、がん予防などに有効であるとの指摘がされています。
また、香り成分である「ジンギベレン」や「シトロネラール」には、胃腸の機能を高める作用があるとされ、漢方ではしょうがを下痢止めや解毒剤として使われます。
健康に良い組み合わせ

※ここで挙げる以外にも、健康に良い組み合わせ(食べ合わせ)はあります。
レモンと組み合わせると
美肌作りなどに役立ちます
キャベツと組み合わせると
胃潰瘍予防などにつながる事があります。なお、キャベツについて以下の記事で詳しく解説しているので、リンクよりお読み下さると嬉しいです。
玉ねぎと組み合わせると
血行促進などに貢献します。なお、玉ねぎについて以下の記事で詳しく解説したので、リンクよりお読み下さると嬉しいです。
やまのいもと組み合わせると
食欲増進などに貢献する可能性があります。なお、やまのいもについて以下の記事で詳しk解説しているので、リンクよりお読み下さると嬉しいです。
品種(一部)
葉しょうが
新しい根を葉つきのまま収穫したものです。茎をつけたまま味噌漬けや甘酢漬けなどにして食べます。谷中しょうがの別名があります。
新しょうが
初夏に出回る根しょうがです。みずみずしく、茎の付け根が鮮やかな紅色をしています。
参考文献
・相馬暁著 株式会社三一書房発行「新装版野菜学入門(初版)」2006年3月10日 106~108頁
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 225頁
・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える!野菜の教科書」2017年6月2日 124~125頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 144頁
・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典最新版(初版)」2016年5月23日 71、239~264頁