とうがらし―ピーマンの仲間で、料理に刺激を与えてくれます!

赤とうがらし 果菜類
赤とうがらし

前置き

辛い、非常に辛い、だけど何だか良い刺激で癖になる・・・。とうがらしにそんなイメージを持っている方もいると思います。

その辛さは強烈なのに、料理に使うとバランスを整えてくれて、イタリア料理の「ペペロンチーノ」やインド、タイの「カレー」、中国の「四川料理」などで大活躍しています。

とうがらしという野菜の「用法・用量」には気をつける必要がありますが、時にダイエット効果や代謝の促進、免疫力向上などの恩恵をもたらしてくれて、健康にも良い影響があり、「辛さ」以外の魅力もあります。

そして、工夫次第で長期保存も可能なとうがらし、今回はそんなとうがらしについて解説していきます。

歴史

原産地は、熱帯アメリカ地方である可能性が高いとされています。

メキシコの紀元前6500~5000年の遺跡からとうがらしが出土し、ペルーの1世紀頃の遺跡からも、とうがらしが使われていた痕跡が見つかっている事から、人類との関わりは、かなり長い事がわかっています。

ヨーロッパには、コロンブスが1493年にスペインに持ち帰ったのを皮切りに、16世紀にはヨーロッパ全土で使用され、そう時間が経たないうちに、アジアにも伝わりました。

日本へのとうがらしの正確な伝来時期については、今もはっきりしていませんが、16世紀頃の可能性が、かなり高いとされています。

17世紀に入った1625年(寛永2年)には、現在の東京都両国において商売をしていた中島徳右衛門が、漢方薬を基に生薬を組み合わせた「七味(七色)唐辛子」を販売するなど、とうがらしの健康への有効性は、この時代にすでに注目されていました。

1700年代中頃には、平賀源内のとうがらし図鑑が発刊、さらには甘味種(辛みがない)である「ししとうがらし」や「伏見甘」なども出現するなど、食用、薬用、観賞用と、幅広く使われるようになりました。

1868年(明治元年)に、ピーマン(とうがらしの甘味種を品種改良したものが、ピーマンです)が導入されたものの、日本において大衆野菜の地位を確立するのは、第二次世界大戦終戦の後を待つことになります。

その一方でとうがらしは、江戸時代が終わった後も、日本人に広く使われ続けていきます。

1984年には湖池屋が菓子「カラムーチョ」を発売、それまで辛い菓子がなかった日本において、この商品は人気を得ました。

近年の日本においては、辛みの強い(いわゆる「激辛」)料理を好む人も多いですが、その流行には、とうがらしの存在が欠かせないなど、今日の食文化に大きな影響を与えています。

良品の選び方

※これらの特徴を持ったとうがらしを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。

・色鮮やかで、つややかなもの

・切り口がみずみずしく、変色していないもの

保存方法

とうがらしは、冷凍保存をする事で、相当長期間保存出来ます。

一本から数本ずつラップで包み、冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存する事をおすすめします。

栄養

実生活において、多くの方が体験している事だと思いますが、とうがらしはその辛さ故に、一度にたくさんの量を食べる事は難しいです。そのため、とうがらしからは、まとまった量の栄養素を摂る事は難しいといえます。

しかしとうがらしには、相当多くの栄養素が含まれているため、辛さ以外にも得られる恩恵があります。ここでは含まれる栄養素のうち、特に注目すべき栄養素を紹介します。

β-カロテン

体内で必要な分だけビタミンAに変換されます。

ビタミンAには抗酸化作用があり、動脈硬化やがんなどを予防するのにつながります。

また、目や皮膚、粘膜の健康維持にも欠かせません。

ビタミンAは油と一緒に摂ると、吸収効率が良くなりますが、とうがらしは油と共に料理に使われる事も多いので、そうすると、効率良く吸収出来ます。

ビタミンC

酸っぱいイメージがあるビタミンCですが、とうがらしにもしっかりと含まれています。

抗酸化作用があり、老化の防止につながる他、風邪などの感染症を防いでくれる可能性もあります。そして、皮膚の健康にも強く関わるビタミンです。

ビタミンE

野菜・果物でこれをまとまった量含むものは、かなり貴重です。そしてとうがらしはその貴重なもののうちの一つです。

「若返りのビタミン」ともいわれるビタミンEは、活性酸素や過酸化脂質の悪影響から身体を守り、老化を遅らせてくれる作用があります。

また、細胞の新陳代謝を促進し、頭痛やめまい、肩こりなどの改善にもつながります。

カリウム

体内の余分なナトリウムを、体外に排出してくれる作用があります。そしてそれは、高血圧などを防いでくれます。

また、筋肉の収縮や神経伝達の機能を正常に保ち、不整脈やけいれんなどから、身体を守ってくれます。

その他

とうがらしの辛味のもとである「カプサイシン」は、胃液の分泌を促し、消化吸収を助け、食欲増進につながります。その一方で代謝を促進し、体脂肪を分解する働きも持ち合わせている可能性が指摘されていて、減量を上手く行えるようになる事があります。

健康に良い組み合わせ

刻んだ赤とうがらし
刻んだ赤とうがらし

※ここで紹介した以外にも、健康に良い組み合わせはあります。

白菜と組み合わせると

胃腸を丈夫にするなどの働きがあります。

しらたきと組み合わせると

肥満防止や血行促進につながります。

エビと組み合わせると

血圧降下や心筋梗塞の予防などに良いです。

みそと組み合わせると

がん予防や免疫力強化などにつながる可能性があります。

品種(一部)

韓国とうがらし

おなじみの品種です。キムチやチゲなどの韓国料理で重宝されます。

ハバネロ

メキシコ原産の、とうがらしの辛さが大好きな方には外せない、とうがらしのなかでも特に辛さが強い品種です。

島とうがらし

沖縄原産です。沖縄の郷土料理「コーレーグース」に用いられます。

齋藤瞬のチャレンジクッキング!―味噌マヨちょい辛ソース

前置き

ここで、とうがらしを使った料理を一品紹介します。はっきり言って、この料理においてとうがらしは「脇役」です。しかし、脇役は脇役でも、居てくれると料理が輝く「名脇役」です。

今回はソース(というより「ディップ」に近いかもしれません)に使ってみました!

材料と工程

ボウルに味噌とマヨネーズを入れる

※それぞれスプーンですくって1:1の割合が良いです。

細かく刻んだとうがらしもボウルに入れる

※味噌とマヨネーズを合わせて50g程度に対して、とうがらしは三分の一本から二分の一本程度が良い事が多いです。辛さの好みに合わせて、調節しましょう。

さらに、サラダ油も少量入れます

それらを混ぜ合わせれば、完成です!

実際に料理に使ってみて

完成したソース(ブロッコリーの上にのせている)
完成したソース(ブロッコリーの上にのせている)

今回は茹でたブロッコリーのお供にしてみましたが、そのままでも美味しいブロッコリーが、さらに美味しくなった感じがありました。

肉料理の味付けに用いても、その存在を示してくれると思います。

簡単に作れるので、みなさまもぜひ試してみて下さい!

参考文献

・竹下大学著 株式会社エクスナレッジ発行「野菜と果物 すごい品種図鑑(初版)」2022年7月12日 104~109頁

・青葉高著 株式会社八坂書房発行「日本の野菜文化史事典(初版)」2013年9月25日 51~57頁

・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える! 野菜の教科書(初版)」2017年6月2日 29頁

・板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい 野菜の便利帳」2021年11月15日 36~37頁

・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」 2020年7月10日 20~21頁

・足立香代子監修、kirishima・サイドランチマンガ「マンガでわかる栄養学」2021年12月20日 104~105、112頁

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