わらび―そばと相性抜群の山菜!アク抜きして美味しく食べましょう

わらび(アク抜き前) 山菜
わらび(アク抜き前)

わらびとは

わらびとは、ワラビ科ワラビ属に属する山菜です。山菜扱いされる事が多い植物ですが、近年は栽培もされてきており、そのような意味では野菜扱いされる事もあります。

旬は2~5月頃で、晩冬から晩春にかけて、楽しまれる事が多いです。根を冬の時期に採集して、わらび粉として利用する事もあります。

日本では、734年の書物、造仏所作物帳にわらびの記載があるなど、古くから親しまれています。

良品の選び方

※ここに挙げた特徴を持つわらびを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。

・茎の部分が緑色

・うぶ毛が多い

・葉先が閉じていて、上を向く前のもの(やわらかくて美味しい事が多い)

・長さが30cmくらいで、葉の巻きがしっかりとしているもの

アク抜き

前置き

わらびを食べるときに、避けて通れぬ下処理が、アク抜きです。アク抜きする事でえぐみなどが減り、美味しく食べられるようになります。また、わらびの中に含まれる発がん性物質を相当減らす事が出来ます(アク抜きをしたわらびを食べて、発がんの危険性にさらされるためには、毎日のように、多量のわらびを食べる必要があるといわれています。通常食べる量で、その発がん性を危険視する必要はないという専門家の方が多いです)。

アク抜きの仕方

※ここで紹介する以外の方法もあります。

1.お湯を沸騰させて、わらびを沸騰した鍋に投入する

2.そこに重曹を投入する。重曹の量は、水の量の1%以下で十分です

3.ざっくり混ぜて、火を止めます

4.落しぶたをして、一晩置きます

5.きれいな水で、洗い流しましょう

※通常の水道水を使って問題ありません。

アク抜きしたわらびの保存方法は、以下で紹介します。

保存方法

冷蔵の場合

水を張った容器にアク抜きしたわらびを入れ、冷蔵庫の冷蔵室で保存します。毎日水を取り替えてやれば、1週間保存出来る事もあります。

冷凍の場合

アク抜きしたわらびを、水気をよく切って、使いやすい大きさにカットしたら、冷凍用保存袋に入れて冷凍室で保存します。

コラム―自分の目で確かめる

右、北海道恵庭市産。左、北海道千歳市産わらび
右、北海道恵庭市産。左、北海道千歳市産わらび

わらびについて、青葉高先生著「日本の野菜文化史事典(八坂書房2013年)」403頁に、若い葉を食べる習慣が、ヒマラヤ中腹、ネパールから中国(南部含む)、朝鮮半島、そして日本など、多くの国や地域に存在する事が書かれています。

一方、大場秀章先生著「サラダ野菜の植物史(新潮社2004年)」212頁には、わらびをよく食べるのは日本くらい、という事が書かれています。

両名とも、長きにわたって野菜や植物を研究されてきた研究者ですが、このように見解がわかれています。「○○先生がこうおっしゃっているのだから、間違いない」とか「○○先生のいう通りにさえしていればいいや」と、先生任せにするのではなく、実際はどうなのかを自分の目で確かめて、自分なりの考えを持つ事の重要性を、再認識しました。

栄養素

生の状態のわらびには、豊富なビタミンB₂が含まれるなど、栄養豊富な山菜です・・・。

と言いたいところなのですが、わらびを楽しむためにアク抜きする際に、残念ながら多くの栄養素が破壊、流失してしまいます。もちろん、全く栄養素がなくなってしまうわけではないのですが、栄養素の補給という意味で、何か抜群の供給源になる・・・、という期待は難しいと言わざるを得ません。

しかし、わらびが好きな方ならわかると思いますが、あのうま味やほろ苦さは、冬の間眠っていた脳や身体を目覚めさせてくれる感覚さえあります。そして料理にすれば美味です。また、低カロリーなので、減量にも向いています。

わらびには、栄養面以外の魅力がたくさんあるので、春の楽しみという面での魅力は損なわれないと言えます。

実際に食べてみる

わらびのおひたし
わらびのおひたし

わらびを実際に食べた時の感想をお話しします。今回はシンプルに「おひたし」で食べた時のレポートです。

といってもおひたしを作ったのは私自身ではなく、私の家族が作ってくれたものを食べました。アク抜きしたものにしょう油をかけて食べるだけの、非常に単純なものでしたが、わらび独特のうま味らしきものを感じられる、大変美味なものでありました。

しかし、わらびだけでなく、一部のきのこにも言える事ですが、美味しいからと言ってたくさん食べようとすると、何故か途中で美味しさを感じられなくなる事が、私にはあります。

わらびを含めた山菜やきのこは、がつがつたくさん食べるものではなく、少量を少しずつ、大事に味わって食べるものだぞ、そのような「自然からのメッセージ」が込められている気が、私にはします。

私は食べるのが好きで、ついつい色々な食材を、まるで「質より量」と言わんばかりに食べてしまう悪癖がありますが、わらびの野性味あふれるうま味や苦みは、本来の「食べるとは何か」というものを、教えてくれている気がしました。

コラムその2―五月わらびは嫁に食わすな

「五月わらびは嫁に食わすな」、このことわざを知っている方もいらっしゃると思います。似たようなことわざに「秋ナスは嫁に食わすな」がありますね。

このブログの別記事で、私は「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざについての考察をした事があります(以下のリンクより、その考察をお読み下さると嬉しいです)。

私は個人的に、「五月わらびは嫁に食わすな」ということわざについて「秋ナスは嫁に食わすな」と同じ事を考えています。

しかしながら、アク抜きをする前のわらびには、意外なほど栄養素が含まれています。そういう意味では、もし栄養素を壊さずにアク抜きする方法が開発されたら、その時は「五月わらびはぜひ嫁に食わせろ」と、世間的に言われる日が来るかもしれませんね。

参考文献

・青葉高著 株式会社八坂書房発行「日本の野菜文化史事典(初版)」2013年9月25日 403~405頁

・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える!野菜の教科書」2017年6月2日 114頁

・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 80頁

リンク

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