にんじん―β-カロテンといえばずばりこれ!輝くオレンジ色!

にんじん 根菜類
にんじん

にんじんとは

にんじんとは、セリ科ニンジン属に属する野菜です(根菜類)。春から夏にかけて採れるものと、秋から冬にかけて採れるものがあります。独特のにおいがあるため、苦手な方もいますが、甘みがあり、生食でも加熱しても美味しく食べる事が出来ます。

歴史

原産地はアフガニスタン付近の中央アジアです。ヒマラヤやヒンズークシ山脈の付近には、今でも野生のにんじんが残っています。そこから、西と東に広がっていきます。西側のトルコでは、メデテナニアンと呼ばれるにんじん群を形成しました。そのため、人によってはトルコをにんじん発祥の地とする人もいます。

ヨーロッパにはトルコから、12~13世紀に伝播し、栽培が始まりました。もっとも、この頃作られていたにんじんは紫色で、現在よく見られるオレンジ色のにんじんは、17世紀にオランダで品種改良されて、誕生しました。

東側には、中国が元だった頃に伝わったとされています(1280~1367年頃)。しかし中国よりさらに東側にある日本において、すでに奈良時代にはにんじんが伝わっていたようです。もっとも、この当時の日本に存在したにんじんは、現在よく見られるものとは大分、姿形が異なるものだっとされています。とはいえ、平安時代の百科事典とも呼べる「和名抄」には、貴族がにんじんを食べていた事がすでに記録されています。そのため、広い意味でのにんじんが、一体いつ頃日本に伝来したのかは、まだはっきりとしていません。少なくとも、現在よく見られるにんじん(現代の日本人の多くが「にんじんといえばこれ」と思い浮かべるもの)は、明治時代にフランス、アメリカから伝わりました。

良品の選び方

※ここで紹介する特徴を持ったにんじんを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。

・軸が小さいもの

・オレンジ色が濃いもの

・表面が滑らかでひげが少ないもの

・逆三角形になっているもの

・葉がついている場合は、葉が緑色でいきいきとしているもの

・土つき(泥つき)の場合、洗浄されているものより美味しい事が多いです

ちなみに、芽が出ているものは避けた方が良いです。芽が出ているだけであれば、食べる事が出来る場合が多いですが、味は落ち、硬くなっている事があります。

保存方法

小さく切ったにんじん
小さく切ったにんじん

常温の場合

寒い時期であれば常温保存出来ます。冷暗所に、紙袋に入れて保存して下さい。泥つきのものは新聞紙で包みましょう。どちらの場合も、葉は切り落として下さい。

冷蔵の場合

よく洗い、水気をしっかりと拭き取って、ペーパータオルに包んで、ポリ袋に入れて下さい。それを、カットしたペットボトルや牛乳パックなどを利用して、立てて、冷蔵室で保存して下さい。この場合、2週間程度保存出来る事があります。

冷凍の場合

よく洗い、水気をしっかりと拭き取り、薄くいちょう切りにして、冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存します。約1か月保存出来る事があります。

また、固めに茹でてから、冷凍しても良いです。この場合も、粗熱を取り、水気を切ってから薄くいちょう切りにして、冷凍用保存袋に入れて、冷凍室に保存します。条件に恵まれると、長期保存出来る事もあります。

栄養素

にんじんは、β-カロテンの宝庫です。中くらいのサイズのものを二分の一本摂取しただけで、一日に必要なβ-カロテン量をまかなえます。また、にんじんはその他にも栄養素を多く含みます。ここではそれぞれ、にんじんによく含まれる栄養素を紹介します。

β-カロテン

目の健康に欠かせない栄養素です。体内でビタミンAに変換されます。不足すると、視覚障害や夜盲症になってしまう事があります。

また、皮膚や粘膜の健康維持にも欠かせません。何より抗酸化作用に恵まれ、がんや動脈硬化の予防にひと役買います。

にんじんに限らず、β-カロテンをよく含む野菜を食べるときには、敢えて、オイル入りのドレッシングを使って食べてみるのも良いです。加熱する時には、適量の油を使うと良いです。ビタミンAは、油と一緒に摂ると、吸収率が良くなります。

ビタミンB₆

たんぱく質の代謝に関わります。不足すると代謝異常になってしまう事があります。皮膚や粘膜の調子を整え、アレルギー症状を緩和します。

葉酸

赤血球の合成に関わります。細胞分裂を助けるので、妊娠中の方や成長期のお子さんに欠かせません。また、認知症の予防に役立つ事もあります。

カリウム

体内の細胞の浸透圧を調節します。余分なナトリウムを体外に排出し、高血圧や脳卒中の予防につながります。身体にむくみがある時にも、カリウムの摂取で改善が見られる事があります。

またカリウムは、筋肉の収縮や正常な神経の情報伝達にも関わるので、不足すると不整脈やけいれんを引き起こしてしまう事があります。

カルシウム

体内に最も多く存在するミネラルです。骨や歯の材料になる他、生理機能の維持、ホルモンの分泌、細胞の分裂、心臓の鼓動の維持、筋肉や神経の活動にも欠かせません。

その他

にんじんには、不溶性食物繊維がよく含まれます。そのため、便秘や大腸がんの予防に役立つ事があります。

健康に良い組み合わせ

※ここで紹介する以外にも、健康に良い組み合わせ(食べ合わせ)はあります。

玉ねぎと組み合わせると

風邪予防、糖尿病予防などに役立つ事があります。

白菜と組み合わせると

がん予防などにつながる事があります。

なお、白菜については以下のリンクをお読みください。当ブログの別ページに飛びます。

わかめと組み合わせると

便秘予防や高血圧予防などにつながる事があります。

ブロッコリーと組み合わせると

白内障、緑内障予防など、目の健康維持に役立つ事があります。

なお、ブロッコリーについては以下のリンクをお読みください。当ブログの別ページに飛びます。

品種(一部)

料理の途中のにんじん
料理の途中のにんじん

五寸にんじん

現代の日本において、最もよく見かける品種です。美しいオレンジ色が特徴です。

金時

お正月によく使われます。現代では貴重な東洋種のにんじんです。赤みを帯びていて、トマトと同じようにリコピンをよく含みます。

紫にんじん

表皮が紫色を帯びています。紫の色素であるアントシアニンを含むため、紫色を帯びます。中身は普通にオレンジ色をしています。

参考文献

・相馬暁著 株式会社三一書房発行「新装版 野菜学入門(初版)」2006年3月10日 149~154頁

・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 91、204頁

・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える! 野菜の教科書」2017年6月2日 56~57頁

・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 60頁

・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典最新版(初版)」2016年5月23日 35頁

・足立香代子監修、kirishima・サイドランチマンガ 株式会社池田書店発行「マンガでわかる栄養学」2021年12月20日 94~101、106~108、112頁

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