セロリ―工夫次第で、独特の苦みは食べやすい味に変える事が出来ます

セロリ 葉茎菜類・花菜類
セロリ

セロリとは

セロリとは、セリ科オランダミツバ属に属する野菜(葉茎菜類)です。旬は11~5月頃の、秋から晩春という事が多いです。

その独特の香りと苦みから、好みが分かれる事が多い野菜ですが、香り・苦み成分は健康に役立つ可能性を秘めているなど、実は魅力が多い野菜です。

簡単な歴史

セロリの野生種は、ヨーロッパから中近東、インド西北部の冷涼な山岳地帯の湿地に自生しています。

古代ギリシャやローマで、すでにセロリの使用がありましたが、その頃は野菜というよりも薬草扱いで、整腸・強制、香料目的で使われていました。ちなみにその頃セロリは、「セリノン」と呼ばれていました。

古い時代から人間たちは、現代を生きる人々と同様に、セロリのその強い香りに注目し、ある時は葬式の際の、死者の身体から出て来る悪臭を取り除く目的で、ある時は祭りにおける飾りに使いました。

セロリと日本人との関わりは、豊臣秀吉の朝鮮出兵の時に、加藤清正がセロリを持ち帰ってきたところから始まるという説があります。今でもセロリの事を「清正人参」と呼ぶ事があるのは、そのためです(セロリはにんじんと同じ、セリ科の野菜です)。

しかし、本当の意味でセロリが一般野菜化したのは、昭和50年代に入ってからと言えます。それまでの食生活から、洋風化が進んだ事で、セロリと洋食の相性の良さが見直され、一般に広まりました。

良品の見分け方

※ここに挙げる特徴を持つセロリを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。

・葉先までピンとしているもの

・全体は淡い緑色のもの

・茎が太く白いもの

・切り口が白く、みずみずしいもの

その他に気をつけてチェックすると良い点として、「茎の縦の筋の凹凸がはっきりしているもの」を選ぶと、良品に出会える可能性が高くなるという事を挙げておきます。

保存方法

セロリ 根元 拡大
セロリ 根元 拡大

冷蔵の場合

葉を切り落とし、葉と茎は別々にする。葉がついていると、葉が栄養分を吸い取ってしまうためです。その上で、湿らせたペーパータオルで包んで、保存袋に入れて冷蔵庫の冷蔵室で保存します。

この時、カットしたペットボトルや牛乳パックを利用して、立てて保存してやるとなお良いです。この方法で、1週間程度保存出来る事もあります。

冷凍の場合

薄切りにして冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存します。冷凍用保存袋に入れる前に、ラップなどで小分けすると、なお使いやすくなります。冷凍保存によって、1か月程度保存出来る事もあります。

コラム―セロリを食べやすくするには

ピーマンなどと並んで、お子さん達が嫌う事が多いイメージがあるセロリ。お子さん達だけでなく、大人の方々であっても、セロリのあの独特の香りと苦みが苦手、という方は多いと思います。かくいう私も、生のセロリは正直苦手です。

しかし、セロリは火を通すと、味や香りがマイルドになり、食べやすくなります。あくまで私個人の話になりますが、生のセロリは苦手なのに、加熱したセロリは好物です。

茹でるときには、やけどやガス中毒などに気をつけつつ、わざと吹きこぼしてみる(こうする事で苦み成分の一部が逃げてくれる)。炒め物にするなどすると、セロリはグッと食べやすくなります。また、火を通す以外だと、漬物にするのも、食べやすくするのに一役買います。

栄養素

セロリ 葉の部分
セロリ 葉の部分

セロリは残念ながら、特に何か多量の栄養素を含んでいるわけではありません。しかし、少量ではありますが、β-カロテン、ビタミンB₁、B₂、葉酸、ビタミンC、カリウムなどを含んでいます。そして、コレステロール値や血糖値の上昇を防ぐのに役立つ、水溶性食物繊維も含んでいます。

セロリの注目すべき点は、栄養素や食物繊維よりも、香り成分や苦み成分です。香り成分の一つの「アピイン」は、神経に直接働きかけ、イライラを抑えてくれる作用があります。また、胃液の分泌を促進し、食欲を増進してくれる作用もあります。苦み成分「ピラジン」は、血液をサラサラにし、血栓を出来にくくしてくれます。

良薬が苦いのは本当なのかもしれませんね(笑)。

健康に良い組み合わせ

※ここに挙げる組み合わせ以外にも、健康に良い組み合わせ(食べ合わせ)はあります。

きゅうりと組み合わせると

利尿作用などがあります。なお、きゅうりについて以下の記事(リンク)で詳しく解説したので、お読み下さると嬉しいです。

オクラと組み合わせると

高血圧予防などに力を発揮します。なお、オクラについて以下の記事(リンク)で詳しく解説したので、お読み下さると嬉しいです。

しいたけと組み合わせると

がん予防などにつながる事があります。

鶏肉と組み合わせると

スタミナ強化などに役立ちます。

品種(一部)

ホワイトセロリ

水耕栽培された小型のセロリです。普通のセロリよりも香りが弱く、筋もないため、食べやすくなっています。

参考文献

・相馬暁著 株式会社三一書房発行「新装版 野菜学入門(初版)」2006年3月10日 167~171頁

・大場秀章著 株式会社新潮社発行「サラダ野菜の植物史」2004年5月15日 84~89頁

・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 222頁

・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える!野菜の教科書」2017年6月2日 93頁

・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 128頁

・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典最新版(初版)」2016年5月23日 168、239~264頁

リンク

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