ふきのとうとは
ふきのとうとは、キク科フキ属に属する植物(山菜・野草)です。その独特の苦みが特徴で、魅力を感じて春の楽しみにしている方もいます。
天ぷら、炒め物、みそ炒め(いわゆる「ばんけみそ」)など、楽しみ方も多彩です。ちなみに、ふきのとうは「ふき」の花茎を指します。ふきのとうがとう立ち(花が開いて茎も伸び始めたもの)した後に出て来る葉柄、葉が「ふき」です。
原産地は日本、朝鮮半島、中国付近とされています。旬は2~3月、冬の終わりから初春の短い時期です。
良品の選び方
※ここに挙げた特徴を持つふきのとうを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
※黒ずんでいるものや、傷があるものは避けましょう。
・葉が開いておらず、つぼみがかたいもの
・緑色が鮮やかでつやがあるもの
注意―毒草「ハシリドコロ」に似ている
毒草ハシリドコロの芽生えは、ふきのとうに似ています(写真を用意出来ないのを謝ります)。ハシリドコロはナス科の植物(ナス科ですが、トマトやナスなどと違って食べられません。何度も言いますがハシリドコロは毒草です)で、誤って食べると散瞳、口渇、けいれん、錯乱、麻痺による呼吸麻痺など、激しい中毒症状をもたらします。ふきのとうとハシリドコロをしっかり見分ける自信がないときは、採集しない、そして食べないようにしましょう。
ただし、このように恐ろしいハシリドコロですが、有用な使い道もあるようです(以下に参考リンクをはっておきます)。

アク抜きの仕方
ふきのとうは、普通に食べるのであれば、アクによる悪影響(ギャグみたいな表現ですね)を強く心配する必要はありません。ふきのとうには「フキノトキシン」という毒が含まれていますが、通常食べる量であれば、フキノトキシンによる悪影響は、まずないと言えます。
苦みを減らして食べやすくしたいのであれば、塩を少量加えた熱湯で茹でて、冷水にさらしましょう。
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保存方法
湿らせた新聞紙に包み、ビニール袋に入れて、冷蔵庫の冷蔵室で保存します。1~2日で使い切りましょう。
栄養素
ふきのとうは、旬の時期が限られている上、たくさんの量を食べるのも難しい(たくさん食べると、先述のフキノトキシンなどの悪影響を受ける可能性もあります)ので、各種栄養素の効果的な摂取源になるのは難しいです。
しかし、ふきのとう自体には案外に多くの栄養素が含まれています。ここではそのうち、主なものを解説します。
ビタミンE
強い抗酸化作用があり、「老化抑制ビタミン」の名もあります。血液の循環を良くして、冷え性や肩こりを改善してくれる事もあります。
性ホルモンの分泌や生成にも関わる事から、生殖機能を正常に保つ事も期待されます。
カリウム
体内の細胞の浸透圧を保つ働きがあります。体内の余分なナトリウムを体外に排出し、高血圧や脳卒中の予防に役立ちます。
またカリウムは、筋肉の収縮や正常な神経の情報伝達にも関わるので、不足すると不整脈やけいれんを引き起こしてしまう事があります。
食物繊維
ふきのとうには、水溶性食物繊維も不溶性食物繊維も、どちらも良く含まれます。そのため、水溶性食物繊維による血糖値の上昇やコレステロール値の上昇を防ぐ効果も、不溶性食物繊維による便秘や大腸がんの予防も、どちらも期待する事が出来ます。
その他
β-カロテン、ビタミンB₁、B₂、葉酸、ビタミンK、リン、鉄も含んでいます。また、ふきのとうは単に栄養素の補給というよりも、独特の苦みにより、冬の間に眠っていた心や身体の元気さを目覚めさせてくれる魅力があるといえます。
健康効果

※ふきのとうの適度な摂取は、以下に挙げる健康効果をもたらしてくれる可能性があります。
・コレステロールの上昇抑制
・皮膚・粘膜の保護
・便秘の予防・改善
・貧血の予防・改善
コラム―味覚は年齢と共に変わる
私が初めてふきのとうを食べたのは、5歳頃だったと記憶しています。母に勧められた天ぷらでした。
私は母に勧められた事もあり、口にしますが、苦くてすぐに吐き出してしまいました。それ以来、私はしばらくの間、ふきのとうを口にしませんでした。
それから時は過ぎ、確かあれは小学5、6年生の頃と記憶していますが、食事に出されたふきのとうの天ぷらを、私は何のためらいもなく口にしました。5歳頃の嫌な記憶があるのにも関わらずです。
しかも私の脳と舌は、ふきのとうの天ぷらを「美味しい」と認識しました。それ以来、ふきのとうの天ぷらは、私の好物の一つになりました。味覚が年齢と共に変わる、典型的な例ですね。
あとがき
あとがきその1
私が当ブログの記事で、「あとがき」を書くのは恐らく初めてです。なぜ今回あとがきを書いたのかというと、「私が今回、ふきのとうについての記事を執筆するにあたって、ある事に少しだけ悩んだ事を、残しておきたかったから」です。
何を悩んだのかというと、「ふきのとうについての記事を、今(2025年5月)世に出すべきか、来春まで待つべきか」という事です。
読者の方の中には、「齋藤瞬、悩んでないでどんどん記事を書けよ!」といってくださる方もいるかもしれませんが、私が今、ふきのとうについて記事を書こうとすると、知識とネタが少なく、文章量(情報量)が少ない記事になってしまう恐れがあったのです。
この事態を更に強化してしまう要因として、この春、「実際にふきのとうを採集または購入して、試食する機会に恵まれなかった(そして撮影出来たふきのとうも少ない)」事があります。私が実際に試食、撮影する事で、リアル感のある記事も書けますし、汚い話ですが、文章量も稼げます。
しかしその一方で、文章量の少なさに目をつぶってでも、ふきのとうに関するお役立ち情報を、読者のみなさまに届けたいという気持ちもありました。私はもうふきのとうの食べごろが過ぎた後に、結構真剣に考えました。
そこで私は結局後者を選び、記事を執筆しました。届けられる情報は、今年のふきのとうの旬を過ぎていても読者のみなさまに届けたい、今まさに私が書ける記事を、しっかりと書きたいという、自分自身の素直な気持ちに従いました。ふきのとう自体は過去に何度も食べた事があるので、その時の事を思い出しながらでも書けます。
という事で読者のみなさまにお届けしたのが、今回の記事です。この記事が読者のみなさまに喜んでいただけたのなら、私はとても嬉しいです。今後も、当ブログと齋藤瞬を、よろしくお願いします。
あとがきその2
情報量の少なさを恐れて、執筆をためらいかけた今回の記事ですが、完成した記事を自分自身で読み返すと、意外と多くの事を伝えられている事に気がつきました。
今回は、執筆をする前に、いつもよりも何か色々と気にし過ぎていたのかもしれません。いざ執筆を終えると、かなり心を満たせている私自身がいます。
参考文献
・相馬暁著 株式会社三一書房発行「新装版 野菜学入門(初版)」2006年3月10日 22〜26頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 79、84頁
・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典最新版(初版)」2016年5月23日 180、239〜264頁