「メロン」とは
メロンとは、ウリ科キュウリ属に属する植物です。基本的には甘味がする品種が多い事から、果物扱いされる事が多いですが、果物にみられる特徴より野菜にみられる特徴の方が多い事から、「果実的野菜」と扱われる事もあります。
日本における旬は、5~8月の夏ですが、温室栽培されたものなどが、少ないながらも、夏以外に売られている事もあります。
高級なものから安価なものまで、様々な値段で様々な品種が売られており、夏の風物詩ともいえる存在です。
簡単な歴史
原産地
メロンの正確な原産地については、未だにはっきりとはわかっていません。
しかし、東アフリカや、まだアフリカ大陸の一部だった頃のインド半島(地理や地学などで勉強されて、覚えている方もいらっしゃると思いますが、かつてインド半島はアフリカ大陸の一部で、それが移動していまの位置にあります)などが、原産地だとする研究者の方が多いです。
人間とメロンの関わり
古代ギリシャ・ローマ時代には、すでに作物として栽培されていました。また、古代エジプトの壁画にも、メロンが登場するなど、人間との関わりは相当な歴史があります。
14~16世紀には、本来メロンの生育にあまり適さないヨーロッパにおいてもメロンが広まるなど、その魅力に惹かれる人は、かなり多かったといえます。
日本には明治時代に導入されましたが、多くの日本人にもその味は好まれ、高級青果の代表的存在になっています。
良品の見分け方
※これらの特徴を持ったメロンを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
・ずっしりと重量感があるもの。
・お尻を押してみて弾力を感じるもの。
・網目のあるメロンの場合、網目が細かく均一なもの。
保存方法
常温保存の場合
メロンのなかには、敢えて常温保存する事で、追熟させた方が美味しく食べられるものもあります。
しかし、メロンは収穫時や輸送時、販売時の環境によって、食べ頃や品質を維持出来る期間がかなり変わります。また、その品種ごとにも、追熟にどれほどの期間をかければ良いのかが、変わります。
そのため、一律に「これくらい常温保存しておくと良いですよ」とは言い切れない面がありますが、「15~20℃くらいの温度で3~7日置く」と、美味しく食べられる事が多いです。
冷蔵の場合
完熟していて、丸のままのメロンは、ペーパータオルで全体を包み、保存袋に入れて、野菜室で保存します。2~3日で食べ切りましょう。
すでにカットしたメロンは、種とワタを取り除き、ラップをして冷蔵室に保存します。これも2~3日で食べ切るのが望ましいです。
冷凍の場合
デリケートなイメージを持つ方もいるメロンですが、冷凍保存も可能です。
種とワタ、皮を取り除いて、好みの大きさにカットした後、果肉に密着させるようにラップを巻いて、冷凍用保存袋に入れて、冷凍庫で保存して下さい。これで1か月保存出来る事もあります。
また、冷凍保存中に、品質低下する可能性は高まりますが、ラップを巻かずに冷凍用保存袋に入れて保存する事も可能です。
栄養
メロンは、カリウムやビタミンB₆などの摂取源として優秀です。
カリウム
体内の、余分なナトリウム(塩分)を体外に排出してくれる働きがあります。
ナトリウムそのものは、人間が生きて行くために必要不可欠なミネラルなのですが、現代の日本の食生活においては、ナトリウム過多になる心配があります。
ナトリウムを摂り過ぎると、高血圧や脳卒中などになる可能性がありますが、カリウムを摂る事で、その可能性を下げる事が出来ます。
またカリウムは、筋肉の収縮や神経伝達を正常に保つ働きがあるため、不整脈やけいれんを防ぐのにもひと役買います。
ビタミンB₆
タンパク質の代謝に重要な役割を果たします。ビタミンB₆不足は、代謝異常などを招く事があります。
またビタミンB₆は、皮膚や粘膜の状態を良くし、アレルギー症状などを和らげます。
その他
メロンは、ブドウ糖、果糖、ショ糖をどれも含みます。そのため、糖分過多による糖尿病などには気をつける必要があるものの、優秀なエネルギー源ともなり得ます。
また、赤肉メロンにはβ-カロテンも含まれるので、アンチエイジングにも役立つ事があります。
健康に良い組み合わせ(食べ合わせ)
※ここで紹介する以外にも、健康に良い組み合わせはあります。
グレープフルーツと組み合わせると
美容効果につながる可能性があります。また、ストレス解消にも良いかもしれません。
紅茶と組み合わせると
品種(一部)
アンデス
青肉のネット系メロンです。安価で売られる事も多く、それでいながら味も良いので、人気がある品種です。
赤アールス
赤肉ネット系のアールスメロンです。よくその名が知られている「夕張メロン」は、赤アールスに分類されます。
クインシー
赤肉のネット系メロンです。口当たりはなめらかでありながら、コクもあります。
ハネデュー
白肉のノーネット系メロンです(ノーネットという事で、表面に網目模様がありません)。甘みが多く、果汁も多いです。ちなみに、「ハネデュー」とは、密のしずくという意味です。
料理
ここでは、メロンを使ったレシピを紹介します。紹介するのは「メロンのシェイク」です。
なお、「材料」と「作り方」は、三輪正幸監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい フルーツの便利帳」2018年9月5日 81頁より引用しました。
材料(1人分)
メロン(正味)…100g(ざく切り)
バニラアイスクリーム…100g
牛乳…1/4カップ
作り方
すべての材料をミキサーにかけ、グラスに注ぐ。
筆者の感想
「メロンのシェイク」を作るとなると、何か複雑な工程があるのかと思っていましたが、意外と簡単に作る事が出来るなと思いました。
材料の分量を変える事で、味変も出来て、作る人の自由度が高いのも魅力だと思いました。
ここでアドバイス
完熟したメロンをより美味しく食べたいのであれば、食べる2~3時間前から、冷蔵庫に入れて冷やし始めると、より美味しく食べられる事が多いです。
ぜひ試してみて下さい!
引用・参考文献
本文中に掲げたものの他に
・三輪正幸監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい フルーツの便利帳」 2018年9月5日 81~86頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 182頁
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 82~83、235頁
・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える! 野菜の教科書(初版)」2017年6月2日 152頁
・竹下大学著 株式会社エクスナレッジ発行「野菜と果物 すごい品種図鑑(初版)」2022年7月12日 166~169頁
・青葉高著 株式会社八坂書房発行「日本の野菜文化史事典(初版)」2013年9月25日 66~76頁
・相馬暁著 株式会社三一書房発行「新装版 野菜学入門(初版)」2006年3月10日 114~122頁
足立香代子監修、kirishima・サイドランチマンガ 株式会社池田書店発行「マンガでわかる栄養学」2021年12月20日 74~75、98~101、112頁