水菜とは
水菜とは、アブラナ科アブラナ属に属する野菜(葉菜類)です。旬は基本的に冬の、日本原産の野菜です(外国においてもmizunaと言って通じる地域もあります)。
見た目は何だか弱々しく、頼りないように見えますが、実は栄養満点で、シャキシャキとした歯ごたえがあり、好む方も多い野菜です。いわゆる緑黄色野菜に分類されます。
今では日本の多くの地域で栽培されていますが、その発祥は関西地方―いわゆる京野菜の一つでもあります―とされ、関西地方以外では「京菜(きょうな)」と呼ばれる事もあります。
とある企業のマヨネーズのCMに使われた事で、全国区になったとする説があります。生食も出来ますし、鍋料理などに使ってひたひたにして食べても美味しい野菜です。
良品の見分け方
※ここに挙げた特徴を持つ水菜を選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
※茎が透明になっているもの、水菜を包む袋の内側に水滴が多くついているものは、鮮度が落ちてしまっている可能性が高いです。これらは選ばない方が良い事が多いです。
・葉先がピンとしていて、みずみずしいもの
・先端まで淡い緑色のもの
保存方法

冷蔵の場合
ペーパータオルで包み、根元を湿らせます。そして、ポリ袋に入れて、冷蔵庫の冷蔵室で保存します。この時、スペースがあるのであれば立てて保存するとなお良いです。この方法で、1週間程度保存出来る事があります。
冷凍の場合
生のまま冷凍する場合
よく洗い、水気をしっかりと拭き取って、ざく切りにします。冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存しましょう。この方法で、1か月程度保存出来る事もあります。
加熱してから保存する場合
固めに塩茹でし、冷ましてから冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存します。冷凍保存自体は出来るものの、なるべく早めに使い切ってあげた方が良いです。
コラム―浅漬けを作るなら
生食でも加熱しても美味しい水菜。浅漬けにして楽しむ事も出来ます。浅漬けを作る場合、水菜の重さの2%程度の塩を使ってやると、美味しく作る事が出来ます。水菜が約200gならば、4g程度の塩を使ってやると良いという事になりますね。漬ける時間は、5~7時間程度が目安です。
また、浅漬けを作るという目的がない場合であっても、食べやすい大きさに切った水菜を、軽く塩もみしてやると、青臭さが抜けて、食べやすくなります。塩もみして水分を抜いてやりましょう。
栄養素
繰り返しになりますが、水菜は大変栄養豊富な野菜です。摂取源になり得る栄養素が数多くあります。ここではそれをいくつかに絞って、解説します。
β-カロテン
体内でビタミンAに変換されます。抗酸化作用があり、がんや動脈硬化予防などに役立ちます。皮膚や粘膜の健康維持にも強く関わります。
またビタミンAは目の健康維持にも重要な役割を果たすので、不足すると、夜盲症などを引き起こしてしまう事があります。
ビタミンB₂
脂質の代謝に強く関わるビタミンです。適度な摂取により、身体が元気になる事があります。
一方でビタミンB₂の不足は、肌荒れや口内炎などを引き起こしてしまう事があります。
ビタミンC
抗酸化作用があり、がんや動脈硬化予防などに役立ちます。また、コラーゲンの生成にも強く関わるので、美肌作りには欠かせません。
その他、ビタミンCの適度な摂取は、風邪などの感染症予防にも役立ちます。
カリウム
体内の細胞の浸透圧を正常に保つのに関わります。体内の余分なナトリウムを体外に排出してくれる事から、高血圧や脳卒中の予防に役立ちます。
またカリウムは、筋肉の収縮や正常な神経の情報伝達にも関わるので、不足すると、不整脈やけいれんを引き起こしてしまう事があります。
カルシウム
人体に最も多く含まれるミネラルです。骨格の形成になくてはならない存在です。それ以外にも、心臓の機能の調整、筋肉の収縮と弛緩、ホルモンの分泌にも強く関わります。
骨粗しょう症、高血圧、ストレスに対抗する能力も持ち合わせているミネラルです。
その他
水菜に含まれる「水菜ポリフェノール」には、皮膚細胞のダメージを回復する力がある事、特にその力は30代以降の人に力を発揮する可能性がある事が指摘されています。
健康に良い組み合わせ

※ここで紹介する以外にも、健康に良い組み合わせ(食べ合わせ)はあります。
(貝類の)カキと組み合わせると
貧血予防などに役立つ事があります。
トマト、または大根と組み合わせると
がん予防などにつながる事があります。なお、トマトと大根について、詳しく書いた記事があるので、以下のリンクを参考にしてくださると嬉しいです(当ブログの別ページに飛びます)。
品種(一部)
晩生種京菜(おくてしゅきょうな)
一般に出回る水菜よりも、栽培時間がかかるものの、その分株が大きく、漬物に大変向いている品種です。
壬生菜(みぶな)
京都の壬生付近が原産です。クセが少しあるものの、葉はやわらかく、浅漬けに向いています。ビタミンKを豊富に含んでいる事から、丈夫な骨作りに役立つ可能性があります。
参考文献
・相馬暁著 株式会社三一書房発行「新装版野菜学入門(初版)」2006年3月10日 177~184頁
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 214頁
・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える!野菜の教科書」2017年6月2日 76頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 108頁
・板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい 野菜の便利帳」2021年11月15日 114頁
・大場秀章著 株式会社新潮社発行「サラダ野菜の植物史」2004年5月15日 136~137頁
・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典最新版(初版)」2016年5月23日 185~186、239~264頁