「いちご」とは
「キイチゴ」や「ナワシロイチゴ」など、いちごと名のつく植物はたくさんありますが、現代の日本で一般的に「いちご」といわれるものは、「オランダイチゴ」を指します。このオランダイチゴは、18世紀後半に、バージニアイチゴとチリーイチゴの主観交雑によって成立しました。いちごの歴史は、意外と新しいともいえるかもしれませんね。
また、近年では、栽培技術の向上などによって、冬から春に見かける事が多いいちごですが、本来の旬は5~6月の初夏です。
その甘酸っぱさから、一般的には果物扱いされる事が多いですが、細かい特徴はむしろ野菜に近いため、「果実的野菜」というカテゴリーに分類される事もあります。
簡単な歴史
現代の日本で一般的に「いちご」といわれるものは「オランダイチゴ」であると、先ほども述べましたが、この「オランダイチゴ」が日本にやってきたのは、1850年です。
その後明治初年(1868年)に、欧米からいちごの苗を導入しようとしたものの、当時の船便では、輸送途中で枯れてしまい、失敗に終わります。導入の成功は、明治27年(1894年)を待つ事になりました。
しかし、導入成功後からの歴史は一気に進みます。1899年に福羽逸人が果実は大きく味も良い「福羽苺」の開発に成功すると、1901年には川島常吉が、石垣の輻射熱を活かした促成栽培法を発見。日本でもいちごを栽培する農家が増えていきます。
一時期、第二次世界大戦頃にいちご栽培は低迷しますが、戦後復興と共にいちごに対する関心が高まり、生態研究、促成栽培、ビニールハウスでの栽培など、様々な工夫がなされ、現在日本では、一年を通していちごが生産出来るようになりました。
良品の見分け方
※以下の特徴をもったいちごを選ぶと、良品に出会える可能性が高まります。
・粒が大きく、ヘタの近くまで赤いもの
・赤く熟しているもの
・ヘタが濃い緑色で反り返っているもの
保存方法
冷蔵の場合
ヘタつきのまま、ヘタをしたにして、いちご同士が重ならないようにします。
その状態で保存容器に入れ、冷蔵庫で保存しましょう。
※いちごは水気に弱いので、洗わないで保存した方が良いです。
※保存容器にアルミホイルを敷くと、傷みにくくなります。
冷凍の場合
優しく洗ってから水気を拭き取り、ヘタを取ります。冷凍用保存袋に入れて、冷凍室に保存します。この方法で1か月ほど保存できる事があります。
※いちごをざく切りにして冷凍するのも良い方法です。ジャムなどを作る時には、この方が便利かもしれません。
補足
いちごは大変デリケートな果物(果実的野菜)なので、常温保存は避けた方が良いです。
栄養
いちごの、栄養面における優秀な面は、ビタミンCと葉酸を多く含む点です。ここでは主にそれらについて解説します。
ビタミンC
抗酸化作用があり、がん予防や動脈硬化予防などに役立ちます。また、風邪などの感染症予防にも一役買います。
そして、美肌効果も兼ねそろえている事から、日々の健康維持、向上には欠かせないビタミンです。
大きさにもよりますが、いちごを一日に10個程度食べると、一日の必要量をクリア出来ます。
葉酸
動脈硬化の予防に役立ちます。また、細胞分裂を助ける力があり、妊娠中の方や、成長期のお子さんには欠かせない栄養素です。ちなみに、葉酸はビタミンB群に分類される、ビタミンBのうちの一つです。
その他
いちごは糖類をよく含むので、エネルギー補給に役立つ一面もあります。
健康に良い組み合わせ(食べ合わせ)
※ここに挙げた組み合わせ以外にも、健康に良い組み合わせはあります。また、今回紹介する組み合わせは、同一の料理に使うのは(味や香りの面では)相性が悪いものが多いので、「同じ食事機会に一緒に食べる」という感覚を持つと良いです。
やまのいもと組み合わせると
胃腸の強化やがん予防などにつながります。
ブロッコリーと組み合わせると
美肌作りや健脳効果などがあります。
わかめと組み合わせると
高血圧予防や心臓病予防などにつながります。
牡蠣(かき)と組み合わせると
美肌作りやストレス解消に役立ちます。
品種(一部)
とちおとめ
主に東日本で栽培。果実は大きくて、糖と酸味のバランスも良いです。
市場で高く評価されています。
あまおう
名前の由来は「あまい」「まるい」「おおきい」「うまい」の頭文字を取ったものです。
とよのかの弱点である着色の弱さを克服した品種です。
ゆうべに
「ゆう」は熊の音読みです。クリスマスを彩って欲しいという願いが込められている品種です。
桃薫(とうくん)
桃、ココナッツ、キャラメルなどを混合させたような香りがする、強い個性を持った品種です。
初恋の香り®(和田初こい)
アントシアニンを持たないため、熟しても淡いピンク色をします。その淡い色合いが、初恋のイメージを持たせます。
すずあかね
夏・秋に採れるいちごの7割近くのシェアを占めます。四季成りいちごの代表格です。
コラム―オランダイチゴと日本の野イチゴの相性
日本にも昔から、ノウゴウイチゴなどの野いちごが存在します。
この事から、オランダイチゴと日本の野生種のかけ合わせも作られましたが、実こそ出来るものの、そこから子孫は生まれませんでした(不稔結実)。
これは、両者の染色体数が違うために起きる事です。
人間が「いちご」と名づけた植物同士であっても、必ずしも相性は良いとはいえない例の一つといえます。
料理―イチゴミルク
前置き
「イチゴミルクを自分で作る事は出来ないか」その気持ちが、今回の料理につながりました。
私が今回紹介するイチゴミルクの作り方(工程)には、恐らく多くの方々の作り方と比べて、独特な部分もあると思われますが、特に難しい部分はないので、実践して下さると嬉しいです。
材料(1~2人前)
・いちご・・・約100g
・牛乳・・・1杯約200ml
・砂糖・・・お好みの量
工程
1.いちごを洗う
※洗ってからヘタを取った方が、栄養素の流失が少なくて済みます
2.いちごを包丁でざく切りにする
※かなりアバウトな切り方でも大丈夫です。
3.焦げつきにくいフライパンで、いちごを煮詰める。レモン汁も入れます
※焦げつきにくいフライパンではありますが、それでも菜箸などで、かき混ぜましょう。火力は中火、3~5分煮詰めます。
4.煮詰まったところで、砂糖を入れて、よく混ぜます
5.煮詰まったいちごの粗熱を取り、グラスなどに入れます。
※粗熱は取ってありますが、グラス等の割れが心配な方は、耐熱のものを使いましょう。
6.牛乳を注いで、混ぜると、完成です
食レポ(感想)
見た目は・・・「某ハンバーグレストランの同品」と遜色ないものが出来ました。
味は、少し甘みが薄かったですが、濃厚かつさわやかな味わいを楽しめました!
何より、「私が想像していたよりも、簡単に作る事が出来る事を発見」出来た喜びが大きかったです。
今回のイチゴミルク作り、上手く作る事が出来ました。
補足
今回紹介した「イチゴミルク」の作り方と、ほぼ同じ工程で、ハスカップやブルーベリーでも飲み物を作る事が出来ます。
私が以前、それらについての記事を執筆した事があるので、今回の記事と併せて、お読み下さると嬉しいです(以下にリンクをはっておきます)。
ハスカップについて
ブルーベリーについて
参考文献
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 231頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 172~173頁
・三輪正幸監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい フルーツの便利帳」2018年9月5日 72~77頁
・竹下大学著 株式会社エクスナレッジ発行「野菜と果物 すごい品種図鑑(初版)」2022年7月12日 116~123頁
・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える! 野菜の教科書」2017年6月2日 148頁
・青葉高著 株式会社八坂書房発行「日本の野菜文化史事典(初版)」2013年9月25日 135~141頁
・足立香代子監修、kirishima・サイドランチマンガ 株式会社池田書店発行「マンガでわかる栄養学」2021年12月20日 98~103頁
リンク
本文中に掲げたものの他に