キャベツ「頭でっかちな野菜!?いえいえ、身体にもちゃんと役立ちます」

キャベツの画像です。 葉茎菜類・花菜類
キャベツ

簡単な説明

キャベツは、アブラナ科の野菜で、有史以前から利用されてきました。生食、漬物、加熱料理など、様々な形で食されます。

「結球している緑色の野菜」というイメージが強いですが、紫色をしたものもありますし、キャベツという野菜を広義的にみてみると、結球していないものもあります。

ちなみに、キャベツの花蕾が肥大したものがブロッコリーで、ブロッコリーが突然変異したものに改良を加えたのが、カリフラワーです。

歴史

歩み

原産地はヨーロッパの大西洋沿岸から地中海沿岸だとされています。

「貧乏人の医者」の二つ名がつくほどの野菜だけあり、古代ギリシャのヒポクラテスは「キャベツは腹痛と赤痢の特効薬」と称賛し、ローマの大カトーは「ローマ人が何世紀もの間、医者無しでやってこられたのはキャベツのおかげである」と評しています。

しかし、この時代の頃のキャベツは、まだ結球していない可能性が非常に高いことが指摘されていて、古代ギリシャやローマの時代からはるかに進んだ8世紀末においても、まだ結球には至っていないことが記録されています。

現在では、結球したものがはっきりと確認できたのは、13世紀頃と言われています。

日本におけるキャベツ

日本には、18世紀頃の江戸時代に入ってきました。

もっとも、この頃のキャベツは食用としてではなく、観賞用の「葉ぼたん」として入ってきました。

江戸時代末期に食用キャベツが栽培され始めましたが、全国的に広まるのは、かなり後の時代になります。

キャベツがポピュラーな野菜の仲間入りをするのは、昭和30年代頃で、日本における「野菜の生食文化」に大きく貢献しました。

キャベツという名の由来

キャベツ(英語ではcabbage)という名は、古いフランス語で「頭でっかちな人」をあざけ笑う「カポッシュ(caboce)」という言葉からきています。中身がぎっしり詰まっているのが、頭でっかちな人のように見えたのでしょうが、実際のキャベツは味良し栄養面も良しで、非常に有益な野菜なので、決して頭でっかちな野菜ではないといえるでしょう。キャベツにとっては風評被害かもしれません。

特徴

どちらかというと、寒さに強い野菜で、最適温度範囲は15℃から20℃、25℃以上になると生育が停止します。

その一方で、徐々に慣らせば−10℃以下でも耐えられることがあり、真冬に収穫される品種もあります。

また、キャベツの辛味成分には、エチレンガスを抑制し、カットキャベツの褐変や変色を防ぐ効果があり、それは漬物などで活かされます。

そして、ビタミンU(通称キャベジン(塩化メチルメチオニンスルホニウム))やビタミンC、B₁、K、葉酸、β‐カロテン、カルシウムなどを含んだ、栄養成分に恵まれている野菜です。

日本における生産、利用状況

日本においては、群馬県、愛知県、千葉県をメインに、多くの都道府県で生産されています。

また、日本で生産されたキャベツは全体の約48%が加工・業務用として使われます。

加工については、カット野菜、冷凍野菜、漬物などの原料として使われ、業務用としては、外食や中食需要があります。

良品の見分け方・保存方法

良品の見分け方

今回の記事を書くにあたって参考にさせていただいた文献や、それ以外にも各方面で、様々な見分け方のコツが紹介されていますが、概ね以下のポイントを押さえておくと、良品と出会える可能性が高くなります。

・外葉がついている

・手に持った時に、春キャベツの場合は見た目の割に軽さを感じる。冬キャベツの場合は逆に重みを感じる

・葉の緑色が鮮やか

・キズや割れ目がない

・葉がいきいきとしていてみずみずしい

・外葉が紫色をしている

・カットキャベツの場合、芯の高さが全体の3分の1程度、断面が黄色、または白っぽい

外葉が紫色になるのは、寒さにさらされたことで、アントシアニンが発生したことによるもので、この方が美味しい傾向があります。

また、キャベツは収穫後も成長し続けます。青果店やスーパーマーケットの照明をも太陽代わりにして育つので、カットキャベツの断面は緑色のものより黄色や白色をしているものの方が、収穫後時間が経っておらず、新鮮な証拠です。

保存方法

保存方法についても、良品の見分け方同様に様々な方法があります。ここでは、常温で保存する場合、冷蔵庫で保存する場合、そして、冷凍庫で保存する場合にわけて解説します。

常温保存する場合

冬期の場合、常温保存することも可能です。丸のままのキャベツを新聞紙に包み、冷暗所で保存してください。

冷蔵庫で保存する場合

・丸のままの場合

芯の生長点を壊し(芯に深くフォークを刺す。又は爪楊枝を深く刺す。あるいは包丁で芯を取り除いても良いです)ペーパータオルに包み、ポリ袋に入れて、冷蔵室またはチルド室で保存してください。キャベツは寒さに強い野菜なので、野菜室より設定温度が低めの冷蔵室の方が、長持ちする傾向があります。これで、条件にもよりますが、2週間程度持つこともあります。

・カットしたものの場合

ポリ袋に入れて、冷蔵室またはチルド室で保存してください。なるべく3、4日で使い切りましょう。

冷凍庫で保存する場合

よく洗い、水気をしっかり切って、好みの大きさにカットします。そして冷凍用保存袋に入れて、冷凍庫で保存します。これで約1か月持たせることができます。

品種

キャベツを鍋で煮ている画像です。
キャベツを鍋で煮ているところ

ここではいくつか、キャベツの品種を紹介します。それぞれ個性的です。

・札幌大球

大きいものだと直径60cmにもなります。大きさに似合わずやわらかく甘みがあり、ニシンの漬物に利用されることが多いです。

・芽キャベツ

葉のつけ根にできるわき芽が結球したもの。加熱して食べます。非常に食べやすく美味です。

・サボイキャベツ

フランスのサボア地方発祥の品種です。葉がちりめん状に縮れているのが特徴です。煮込み料理に向いています。

・グリーンボール

やや小ぶりな品種です。中心まで緑がかっていて、生食や漬物に向いています。

・紫キャベツ

赤キャベツとも、レッドキャベツとも呼ばれます。特徴的な色はアントシアニンによるものです。加熱すると色が落ちるので、色を生かしたいのなら生食しましょう。

栄養

ここでは、キャベツの栄養面について解説します。キャベツは淡色野菜(芽キャベツなど一部の品種に例外があります)ですが、緑色の濃い部分にはβ‐カロテンが多く含まれ、芯に近い部分にはビタミンCが多く含まれているので、食べるときに意識すると、栄養素の補給がしやすくなるかもしれません。

ここでは、ビタミンC、葉酸、B₁、K、β‐カロテン、ビタミン様物質であるビタミンU(キャベジン(塩化メチルメチオニンスルホニウム))、カルシウムについて簡単に解説します。

・ビタミンC

品種や個体差はありますが、可食部100g中40~80mgを含みます。かぜ予防に良いことが指摘され、そして美肌効果があるといわれています。

・葉酸

同じく品種や個体差はありますが、可食部100g中50~120mcgを含みます。赤血球の造成に関わるほか、認知症の予防に効果がある可能性が指摘されています。

・ビタミンB₁

自律神経を整え、疲労回復効果があるといわれています。

・ビタミンK

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を予防する効果が期待されているなど、骨を強くするのに関わるビタミンです。

・β‐カロテン

体内でビタミンAに変わります。抗酸化作用があり、目の健康の維持などに関わります。

・ビタミンU

胃の粘膜などを保護します。胃酸の抑制や抗酸化作用が期待されています。

・カルシウム

骨を構成するミネラルです。精神の安定にも関わります。

コラム

ここで、キャベツとは名がつくものの、キャベツとは違う植物について紹介します。その植物の名は、英語で「スカンクキャベツ」というのですが、毒性は確認されていないものの、食べるとスカンクの名の通り、すごい臭いがするそうです。北米ではよく見かけられる植物で、その臭いにつられてハエが寄ってきて、受粉を手伝ってくれるそうです。ちなみに日本語では「ザゼンソウ」といいます。英名に対して、意外と普通の名前ですね。

料理

キャベツは生食でも漬物でも、加熱料理でも美味しく食べることができる野菜ですが、ここでは健康に役立つ(もちろん味においても)食材の組み合わせを紹介します。

・あさり(その他にしじみ、レバー、植物油など)

貧血予防や肝機能強化、老化防止や健脳効果が期待できます。

・レモン(その他にオレンジ、グレープフルーツ、みかんなど)

動脈硬化予防、血行促進、ストレス緩和、美肌作りが期待できます。

・ほうれん草(その他にうなぎ、にんじん、にらなど)

かぜ予防、ガン予防、精力増強に期待ができます。

・カシューナッツ(その他に落花生、植物油、たらこなど)

ストレスに強くなる、老化防止、記憶力向上に期待ができます。

参考文献

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・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年 210頁

・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える!野菜の教科書(初版)」2017年 70、71頁

・大場秀章著 株式会社新潮社発行「サラダ野菜の植物史(初版)」2004年115~117頁

・メグ=マッケンハウプト著、角敦子訳 株式会社原書房発行「食の図書館 キャベツと白菜の歴史(初版)」2019年 35、36頁

・一般社団法人農山漁村文化協会編 同発行「地域食材大百科 第2巻 野菜(初版)」2010年 69~71頁

・板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい 野菜の便利帳」2021年 104、105頁

・板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「新・野菜の便利帳 おいしい編」2016年 62頁

・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年 94頁

・青葉高著 株式会社八坂書房発行「日本の野菜文化史事典(初版)」2013年 186頁

・足立香代子監修、kirishima・サイドランチマンガ 株式会社池田書店発行「マンガでわかる栄養学(初版)」2021年 101頁

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