「トマト」とは
トマトは、ナス科トマト属に属する野菜です(フランスや台湾では果物扱いする方が多いです)。
原産地は中南米で、日本では一般的に夏野菜扱いされます(旬は6~9月)。しかし、栽培技術の向上などで、現代においては、夏以外の季節でもごく普通に購入出来る事が多くなっています。
簡単な歴史
中南米原産のトマトは、今でもメキシコの密林の奥地に、野生のトマトがあります。
古くから中南米にすむ人々は、この野生トマトを食用にしていて、メキシコの人々は「空を飛ぶように旨い」と表現しています。
ヨーロッパをはじめとする地中海にトマトが伝わったのは、16世紀です。しかし当初は、その赤色と強い香りから、有害植物扱いされていました(実際トマトのなかには、有毒なものも存在します)。
ですが、18世紀にイタリアでトマトが食用とされ始めると、トマトの評価はがらりと変わり、特にそのうま味から、「トマトのあるところに料理のヘタな人はいない」と言われるまでになりました。
日本で、トマトが食用に栽培され始めたのは明治に入ってからです。しばらくの間は一般の人々に支持されませんでしたが、第二次世界大戦後、食のスタイルが欧米化すると共に、多くの人々から人気を得る事になりました。
良品の選び方
※ここに挙げた特徴を持つトマトを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。
・実がつるっと丸みがあるもの
・ヘタの緑色が濃いもの
・赤みが濃く鮮やかなもの
・お尻の白い筋の数が多く、はっきりしているもの
保存方法
常温保存の場合
日持ちさせるために、多くの場合、トマトはまだ熟しきらないうちに収穫する事が多いです。
そのため、購入後、自宅で追熟させた方が美味しく食べられる場合があります。
15℃程度の常温の環境かつ、日光が当たる場所に置いておくと、上手く追熟出来る事が多いです。青みの残り具合にもよりますが、1~5日程度で美味しく食べられるようになる事が多いです。
冷蔵の場合
1個ずつペーパータオルで包み、保存袋に入れて、野菜室に保存します。この時、ヘタを下にしてやると良いです。これで1~2週間程度保存出来る事があります。
すでに熟しているものの場合、ラップをかけるかポリ袋に入れて、野菜室で保存します。この場合、なるべく早く食べ切る事をおすすめします。
冷凍の場合
ヘタを取って、1個ずつラップをして冷凍庫で保存して下さい。またはざく切りにして、冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存します。これで約1か月保存出来る事もあります。
※加熱してソースにして、粗熱を取ってから冷凍用保存袋に入れて冷凍保存するのも良いです。すぐ料理に使えるので便利です。
※冷凍したものを使う場合、凍ったまま加熱した方が良い事が多いです。
栄養
トマトは、以下に挙げた栄養素を良く含みます。
特に「リコピン」含有量の多さは、トマトの象徴ともいえます(品種によってはリコピンを含まないものもあります)。
リコピン以外にもたくさんの栄養素を含み、「トマトが赤くなると医者が青くなる」という諺がある国や地域もあるほどです。
β-カロテン
体内で必要に応じて、ビタミンAに変換されます。
抗酸化作用があり、がんや動脈硬化予防、アンチエイジングにも役立ちます。眼の健康、皮膚や粘膜の健康維持にも力を発揮します。
ビタミンC
抗酸化作用があり、肌を美しくする可能性があります。また、風邪などの感染症予防にも役立ちます。
ビタミンE
「若返りのビタミン」とも呼ばれ、抗酸化作用があり、活性酸素や過酸化脂質の悪影響から、身体を守ってくれます。
また、血流を促し、細胞の新陳代謝を促進させるため、頭痛や肩こり、冷え性の改善にもつながる可能性があります。
リコピン
β-カロテンに似ている物質です。β-カロテンと違い、ビタミンAとしての働きはしないものの、目を見張る抗酸化作用があります。そのため、がんや動脈硬化予防などに、高い効果を発揮します。
ちなみに、トマトが赤いのは、このリコピンを多く含んでいるためです。
その他
上記で挙げた栄養素以外にも、トマトは健康に役立つ栄養素などを含みます。
例として、高血圧や脳卒中、不整脈やけいれんを防ぐのに役立つカリウム、血糖値上昇を防ぐ可能性があるクエン酸、うま味成分グルタミン酸(脳を活性化する可能性が指摘されています)、血液をサラサラにする力があるピラジンなどが挙げられます。
健康に良い組み合わせ
※ここに紹介する以外にも、健康に良い組み合わせ(食べ合わせ)はあります。
じゃがいもと組み合わせると
活性酸素除去につながります。
キャベツと組み合わせると
がん予防などに役立つ事があります。
レモンと組み合わせると
高血圧を予防出来る事があります。
酢と組み合わせると
疲労回復効果などが望めます。
品種(一部)
桃太郎
大玉のピンク系トマトです。
果肉がしっかりとしていて、熟しても実が崩れにくい長所があります。
にたきこま
プラム型のトマトです。加熱調理するとより美味しく食べられます。
ミニトマト
一口サイズのトマトです。赤、黄、オレンジ色のものもあります。
アイコ
通常の2倍のリコピンを含みます。調理しても生食しても美味しく食べる事が出来ます。
グリーン
完熟しても赤くなりません(リコピンを含まないためです)。サルサソースに持って来いの品種です。
料理―サンマサルサトマトソース
前置き
今回紹介「サンマサルサトマトソース」の材料と作り方は、白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 14頁より引用しました。引用著書関係者に感謝の意を申し上げます。
材料
ミニトマト…8個
サンマ…2尾
たまねぎ…1/4個
タバスコ…小さじ1
ビネガー…小さじ1
塩 こしょう…少々
作り方
1.トマトはさいの目に切り、たまねぎはみじん切りに切る。
2.ボウルに1を入れ、タバスコとビネガーを加え、塩、こしょうで味を調える。
3.塩焼きしたサンマを器に盛り、2をかける。
感想
サンマとトマトソースで、ご飯が何杯でも食べられそうなレシピだと思いました。
脳を活性化する可能性もある料理という事で、ますます興味関心を持っています。
ワンポイントアドバイス
たくさんの健康効果があるトマトですが、苦手な方も一部いらっしゃるのが事実です。かく言う私も、トマトが苦手な人間です。
しかし、少し手間はかかりますが、ざく切りにして加熱し、塩を多めに加えてやると、美味しく食べられるようになります。
全員が全員、この方法が通用するわけではありませんが、この方法でトマトを食べられる方は、ぜひ実行すべきといえます。
引用・参考文献
本文中に掲げたものの他
・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 78~83、196頁
・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える! 野菜の教科書」2017年6月2日 22~23頁
・板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい 野菜の便利帳」2021年11月15日 22~27頁
・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 12~15日
・相馬暁著 株式会社三一書房発行「新装版 野菜学入門(初版)」2006年3月10日 78~83頁
・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬 おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典 最新版(初版)」2016年5月23日 83頁
・足立香代子監修、kirishima・サイドランチマンガ 株式会社池田書店発行「マンガでわかる栄養学」2021年12月20日 94~97、102~105頁