みつば―苦みの中に優しさを感じさせる、料理における名脇役

みつば 畑で育っているもの 葉茎菜類・花菜類
みつば 畑で育っているもの

みつばとは

みつばとは、セリ科ミツバ属に属する野菜(葉菜類)です。弱々しく見える見た目に反して栄養豊富な、緑黄色野菜に分類されます。

みつばが料理の主役扱いされる事は少ないですが、料理に入っているとその料理がグッと引き立てられる、名脇役といっても良い存在です。

簡単な歴史

原産地は日本または東アジアとされています。「みつばは原産地が日本である」と発言しても、問題発言扱いされる事は少ない、数少ない日本原産の野菜であると言えます。現代の日本においても、北海道から沖縄まで、あちこちに野生のものが存在しています。余談ですが、私がまだ小学生の頃、祖母が自宅近辺でみつばを採集していた記憶が、かすかに残っています。

しかし、みつばが日本においてよく食材として利用されるようになったのは意外と最近(戦国時代末期から江戸時代初期あたり)とされています。中国では古くから食材扱いされていたのとは対照的です。ちなみに、みつばと似た者扱いされる事がある「セリ」は、日本においてもかなり古い時代から利用されています。

しかし、食材として扱われてからのみつばの事情は大きく変わります。享保年間に江戸の郊外、葛飾で軟化栽培がはじめられ、幕末の天保年間には踏込温床を用いた栽培技術が開発されるなど、多くの日本人に愛される存在となりました。

良品の見分け方

※ここに挙げた特徴を持つみつばを選ぶと、良品に出会える可能性が高くなります。

※葉がしおれているものや黄色くなっているもの、茎が透明っぽくなっているものは、鮮度が落ちているので、避けた方が良い事が多いです。

・葉が鮮やかな緑色をしているもの

・茎にツヤがあるもの

・全体にハリがあり、香りが良いもの

保存方法

冷蔵の場合

ペーパータオルで包み、ポリ袋に入れて、冷蔵庫の冷蔵室に立てて保存します。立てる時には、カットした牛乳パックやペットボトルなどを利用してやると良いです。この方法で、1週間程度保存出来る事もあります。

冷凍の場合

良く洗い、水気をしっかりと拭き取って、好みの大きさにカットします。その後、ラップで小分けして、冷凍用保存袋に入れて、冷凍室で保存します。この方法で、4週間ほど保存出来る事もあります。

私にブログ運営における様々なアドバイスをしてくださる、よねさんさんが運営する会社です!

栄養素

この記事の最初の方でも書きましたが、みつばは弱々しそうな見た目に反して、栄養素を多く含んでいます。料理の名脇役的存在である事から、普段たくさんのみつばを食べる事は少ないですが、以下に挙げる栄養素を多く含んでいる事を覚えておいて、損はないと思われます。以下それぞれ解説します。

β-カロテン

体内でビタミンAに変換されます。抗酸化作用があり、がんや動脈硬化、老化を予防するのに役立ちます。皮膚や粘膜の健康維持にも欠かせません。

またビタミンAは目の健康維持にも強く関わり、不足すると、夜盲症などを引き起こしてしまう事があります。

ビタミンC

抗酸化作用があり、がんや動脈硬化、老化を予防するのに役立ちます。コラーゲンの生成にも強く関わる事から、美肌作りには欠かせません。

また、風邪などの感染症予防にも一役買います。

ビタミンE

強力な抗酸化作用があり、「老化抑制ビタミン」の別名を持ちます。血液の循環を良くする働きもあるので、冷え性や肩こりの改善にも役立ちます。その他、性ホルモンの分泌や生成にも関わるので、適度な摂取は生殖機能を正常に保つのにも役立ちます。

ビタミンK

骨の形成に関わる事から、骨の強化に欠かせません。また、血液の凝固と凝固の抑制どちらにも必要なビタミンなので、適度な摂取はケガや内出血の悪化を食い止める事があります。

カリウム

体内の細胞の浸透圧を調節します。体内の余分なナトリウムを体外に排出するので、高血圧や脳卒中の予防に役立ちます。

またカリウムは、筋肉の収縮や正常な神経の情報伝達にも関わるので、不足すると不整脈やけいれんを引き起こしてしまう事があります。

その他

みつばの香り成分である「クリプトテーネン」や「ミツバエン」には、食欲増進や神経を休める働きがあり、胃もたれやストレス解消に役立ちます。

健康効果

みつば
みつば

※みつばを適度に摂取すると、以下に挙げる健康効果を得られる可能性があります。

・胃もたれの予防

・食欲の増進

・抗ストレス作用

・高血圧の予防・改善

品種(一部)

糸みつば

軟白せずに根元まで日光に当てて育てたものです。青みつばと呼ばれる事もあります。栄養価が高いです。

根みつば

土寄せ軟白しているため、茎の下部が白くなっています。根も食べられます。

切りみつば

遮光軟白して、根元を切ったものです。関東地方のお雑煮には欠かせない存在です。

参考文献

・相馬暁著 株式会社三一書房発行「新装版 野菜学入門(初版)」2006年3月10日 185~188頁

・青髪のテツ著、ムラセセラマンガ 株式会社Gakken発行「マンガでわかる やさいのトリセツ 野菜のプロが教える選び方・保存法・無駄なくおいしく食べるコツ(初版)」2023年7月11日 222頁

・川端理香監修 株式会社宝島社発行「毎日使える! 野菜の教科書」2017年6月2日 95頁

・白鳥早奈英、板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」2020年7月10日 114頁

・板木利隆監修 株式会社高橋書店発行「からだにおいしい 野菜の便利帳」2021年11月15日 134頁

・吉田企世子監修 株式会社エクスナレッジ発行「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典最新版(初版)」2016年5月23日 104、239~264頁

リンク

当ブログ(みつばと同じセリ科の野菜)

タイトルとURLをコピーしました